
車検時に任意保険証って必要? 保険証の提示を求められる理由や自賠責保険との関連性を解説
任意保険はその名の通り、任意で加入するため、自賠責保険のような加入義務はありません。しかし、車検の際に任意保険証の提示を求められたという声もインターネット上に見られます。
そこで本記事では、車検の際に任意保険証は必要なのか、なぜ提示を求められるのかを解説するとともに、車検時に注意すべきポイントや、自賠責保険との関係性、賢い車検の選び方について説明します。車検と任意保険の関係性について知りたい方は参考にしましょう。
車検時に任意保険証は必須ではない
結論から言うと、車検を受けるに当たって、任意保険証の提示は必須ではありません。そもそも車検とは、その車が保安基準を満たしているかどうかを検査する制度のことです。
一方の任意保険は、自賠責保険ではカバーしきれない損害などを補償するため、加入は任意となります。両者の間に直接的な関係性はないため、任意保険に加入していなくても車検を受けられます。
車検時に任意保険証の提示を求められる理由

任意保険に未加入でも車検を受けられるのなら、なぜ車検の申し込みや見積もりの際に任意保険証の提示を求められることがあるのでしょうか。その理由は主に2つあります。
他者運転特約の有無を確認するため
他者運転特約の有無を確認するために、任意保険証の提示を求められる場合があります。他者運転特約とは、他人の車を運転していたときに事故を起こした際、補償を受けられる特約のことで、ほとんどの任意保険契約にはセットされています。任意保険はドライバー本人ではなく車そのものにかける保険のため、他人の車で事故を起こした場合に使用できるのは、その車にかけられた保険のみです。
車検を受けている間はディーラーや車検業者が手配した代車を利用することになりますが、代車に任意保険がかけられているかどうかは業者によって異なります。もし無保険だった場合、代車で事故を起こした場合の損害を実費で補償する必要があり、多額の負債を抱える可能性があります。その場合でも、他者運転特約を使うこと代車での事故の損害を補償することが可能となるため、任意保険証の提示を求めるのです。
また、代車に任意保険がかけられている場合はその保険を使って補償が可能ですが、そうするとその事故で保険を使ったため業者の保険料が次回更新以降上がってしまいます。そのため、一般的には業者は代車使用中の事故の場合は借主であるお客様の保険の他者運転特約を使うことで自社の保険料アップを回避している場合がほとんどです。
車検の際には代車の利用が必要になる場合が多いため、業者は自動車保険への加入と他者運転特約がセットされているかの確認のため任意保険証の提示を求める場合があるのです。また、代車で事故を起こした場合、事故相手の車両の修理は任意保険で補償することが可能ですが、代車自体の損害の修理まで保険でカバーできるかどうかは代車の借主の加入している任意保険に車両保険が付いているかどうかによります。そのように代車事故の損害への対応の仕方を前もってお客様には説明が必要になるため、任意保険の内容確認のため保険証の提示を車検業者は求めるのです。
代車を借りるお客様が任意保険に入っていないまたは他者運転特約が付いていない場合に代車で事故を起こした場合は損害の実費をお客様が負担することになってしまうため、業者として念のために任意保険の加入を確認しているとも言えるでしょう。
補償内容の見直しのため
補償内容の見直しのため、任意保険証の提示を求められる場合もあります。車検業者のほとんどは自動車保険代理店であり、無料で任意保険の診断やアドバイスを行っているところがあります。任意保険証には、補償内容や保険料などの情報が全て記載されているため、業者に提示すれば補償内容に無駄がないか、あるいは不足している補償はないかを診断してもらうことが可能です。業者としては保険代理店としてお客様の自動車保険の内容が適切かどうかをプロとしてアドバイスすることで今後の保険契約に繋げたいという意向もあるでしょう。
車検時の任意保険証の提示は断ってもよい?
前述した通り、車検と任意保険の加入に直接的な関係はないため、業者から任意保険証の提示を求められたからといって、必ずしも応じる義務はありません。他者運転特約について理解している場合や、補償内容の見直しを考えていない場合は、任意保険証の提示を断っても構いません。ただし、車検時に代車を使用する場合は業者としてもリスク管理として任意保険証の確認を社内で決めている場合もあるでしょうから、そのような際は事故の際のトラブルを防ぐ意味合いでも提示はしておいた方が良いでしょう。
【加入状況別】車検時の任意保険で見直すべきポイント

車検を受ける際に任意保険証を提示するかどうかは自由です。ただ、この機会に任意保険の必要性を確認したり、補償内容を見直したりすると、より良いカーライフにつながる可能性があります。ここでは加入状況別に、車検時に見直したい任意保険のポイントをまとめました。
任意保険加入済みの場合
既に任意保険に加入している場合は、補償内容の確認や見直しを行いましょう。
車を初めて購入したときに何となく加入し、そのままの内容で更新し続けている場合、思った以上に補償が足りなかったり、無駄が多いと気付いたりすることがあります。また業者からの説明で代車での事故の際に使われる他者運転特約の存在に気付いた方は、代車利用時の事故の際の心構えを前もってしておきましょう。
さらに、補償対象の確認と見直しも行っておくのがおすすめです。例えば、最初に加入したときと運転者の範囲が変わった場合は、運転者を本人限定や家族限定、夫婦限定に変更することで、保険料を節約できます。他にも、ロードサービスの有無や内容をチェックするなど、自身が加入している保険の詳細を再確認しておくと、いざというときの対応に役立つでしょう。
任意保険に加入していない場合
任意保険への加入は必須ではありませんが、強制加入である自賠責保険は最低限の補償しか受けられず、なおかつ人身事故での対人補償に限られます(※)。
一方、対人・対物の損害賠償は非常に高額になる場合が多く、場合によっては億単位の賠償を請求されることもあります。自賠責保険でカバーしきれなかった分の補償は全額自己負担となるため、多額の負債により、生活が一変する可能性も十分あり得ます。また任意保険に加入していれば、事故の相手方とのやり取りは保険会社が代行してくれますが、無保険の場合、示談交渉も全て自身で行わなければなりません。
以上のように、無保険で事故を起こした場合は経済的・精神的な負担が非常に大きくなるのが予想されるため、任意保険への加入を速やかに検討することをおすすめします。
なお、車検を受ける際に任意保険に未加入であることを伝えれば、保険の内容や手続きについて詳しく説明してくれる場合もあるため、参考にしてみると良いでしょう。もちろん、その業者が代理店となっている保険会社に加入するか否かは任意なため、その場で無理に手続きしなくても構いませんが、今回の車検で代車を利用する必要がある場合はもしもの事故に備えて保険加入を急いだほうが良いでしょう。
車検と自賠責保険の関係性
車検と任意保険に直接的な関係はないと説明しましたが、強制加入である自賠責保険は車検と密接な関係があります。
自賠責保険とは、自動車事故を起こして他人を死亡あるいは負傷させた場合の損害賠償責任について補償を受けられる制度のことです。任意保険とは異なり、自賠責保険は自動車損害賠償保障法によって加入が義務付けられている強制保険であり、自賠責保険に加入していなければ車検を受けられません。実際、車検には申請書や自動車検査証(車検証)、納税証明書などと共に、自動車損害賠償責任保険(共済)証明書の提出が必要です。
自賠責保険が切れている場合の対処法
自賠責保険は通常、車検の際に一緒に更新手続きを行うため、車検を受け続けていれば保険が切れることはありません。しかし、自賠責保険の保険期間は最長で37カ月(通常は車検の期間に合わせて決定)のため、数年にわたって未使用のまま放置されていた車は、車検だけでなく自賠責保険も失効しています。このようなケースでは、車検を受けるために整備工場に車を持っていきたくても、車検が切れているため公道を走行することはできません。車検業者が引き取りに来てくれれば良いのですが、必ずしもすぐに対応してもらえるとは限りませんし、費用もかかるでしょう。そのような場合に車を自走して整備工場に持ち込む方法が仮ナンバーの取得です。仮ナンバーの取得は市区町村役場に申請が必要ですが、その際に有効な自賠責保険の提示が求められます。そのため、前もって自賠責保険に加入する必要があります。
自賠責保険への加入は車検を受ける予定の整備工場などの業者が一般的ですが、車検業者以外の保険代理店をネットで探して契約するなどの方法もあります。また、仮ナンバーを借りる市区町村役場にも自賠責保険加入ができる窓口が併設されている場合も多くありますので検討してみましょう。どこで加入しても自賠責保険料は違いは無いため、ご自身が利用しやすい場所を選ぶと良いでしょう。
自賠責保険証明書を紛失した場合の対処法
車検の際に提出が必要な自賠責保険証明書を紛失した場合、再発行の手続きが必要です。再発行手続きは加入先の保険会社で行うため、再交付申請書に契約者本人であることを確認するための書類(運転免許証など)を添えて手続きしましょう。
なお、車検の期日までにどうしても再発行が間に合わない場合は、その旨を車検業者に伝えて、新規で自賠責保険に加入すれば車検を受けられます。
車検に任意保険の有無は関係ない
車検を受ける場合、自賠責保険への加入は必須ですが、任意保険への加入は特に義務付けられていません。そのため、任意保険未加入でも車検を受けることは可能で、任意保険証の提示を求められても断れます。
ただ、自賠責保険では最低限の補償しか受けられないため、万が一事故を起こした場合、多額の賠償金を負担しなければならない可能性があります。交通事故を起こすリスクは誰にでもあるため、車検をきっかけに任意保険への加入を検討してみてはいかがでしょうか。既に任意保険に加入している方も、補償内容や補償対象を見直し、不足や無駄がないかどうか確認してみることをおすすめします。
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