Column 速太郎コラム

ヘッドライトが原因で車検に通らない?2015年から厳しくなった測定方法に注意

2024.03.20

2015年にヘッドライトの検査基準が変わりました。大きな変更点は1998年9月1日以降の生産車のヘッドライト検査をロービームで行うということでしたが、法改正の経過措置期間ということでロービームで通らない場合はハイビームで検査が可能でした。それが、2024年8月に終了となり対象車は必ずロービームで検査を行わないといけなくなります。このため、今後ヘッドライトが原因で車検に通らない車が増える可能性があります。ヘッドライトが原因で車検に落ちることがないように、ヘッドライトの検査基準を知り事前に対策をしておきましょう。

本記事では、車検に通らないヘッドライトの特徴や検査基準について解説します。この記事を参考に、車検前にヘッドライトの状態を確認しておきましょう。

車検に通らないヘッドライトの特徴5つ

車検に通らなかった場合、再検査が必要となります。時間と手間を考えると、1回で車検に合格したいものです。では、ヘッドライトのどういった点に注目をし、事前準備をすれば良いのでしょうか。

ここでは、車検に通らないヘッドライトの特徴を5つ紹介します。

● レンズに曇り・黄ばみがある
● ヘッドライトのレンズが破損している
● 光軸調整ができていない
● 社外品のバルブを使っている
● 輸入車に乗っている

レンズに曇り・黄ばみがある

レンズが曇っているまたは黄ばんでいる場合、ヘッドライトの光量が足りず車検に落ちる場合があります。

2024年8月からのヘッドライト検査は、ロービームのみでの検査となりますが、ロービームはハイビームよりもレンズの影響を強く受けます。レンズの曇りや黄ばみの原因はレンズ表面のコーティングの劣化ですが、綺麗にするためにむやみに擦ってしまったり研磨剤を使うとコーティングが剥がれ、逆効果になってしまいます。曇りや黄ばみが目視で確認できる場合には、まずはクロスなどで優しく磨くようにしましょう。それでも曇りや黄ばみが取れない場合には、ヘッドライトのレンズ交換(ヘッドライトAssy交換となる場合が多い)を検討しなければなりませんが、ヘッドライトクリーニングという方法で曇りや黄ばみを取れる場合もあるため、業者に相談してみましょう。

ヘッドライトのレンズが破損している

ヘッドライトのレンズが破損している場合、車検に通らない可能性が高いです。レンズの破損にも、ヒビ割れや穴が開くほどの割れなどがありますが、車検では光が外に漏れてしまう状態は完全に不合格となります。さらに、その破損部分から雨水が入り込むと、バルブの電極間に過剰に電流が流れてしまうため、ヒューズが切れる恐れもあります。そのため、ヒビ割れのみで穴が開いていなくても車検に通らないと判断される場合も多くあります。

光軸調整ができていない

ヘッドライトの光軸とは、ヘッドライトの光の向きのことで保安基準で上下左右の範囲が定められています。そのため、光軸がズレていると車検に通らない可能性が高いです。ヘッドライトの光軸は、ヘッドライトの脱着や整備、ヘッドライトの電球交換などで変わってきますが、それ以外にも外部からの衝撃や走行中の振動、サスペンションのヘタリなどによる車の姿勢の変化などでズレる場合もあります。

社外品のバルブを使っている

社外品のバルブを使用していると、車検に落ちる可能性が高まります。バルブとは、電球のことでヘッドライトの光に影響するパーツです。バルブには、ハロゲン・HID・LEDの3種類があり、現在は明るくて寿命が長いLEDが主流となりつつあります。

社外品のバルブは、多くのメーカーが発売しているため、比較的安価な社外品のバルブを使用している方も少なくないでしょう。安価な社外品バルブは、車検基準を満たしていないものも多いため、バルブが原因で車検に通らない恐れがあります。

社外品バルブの中には、車検対応と記載されているものもありますが、車検対応と記載されているバルブであっても必ず車検に通るわけではないので注意が必要です。社外品バルブを購入する際には、光量や色を確認して検査基準をクリアするものを選びましょう。

輸入車に乗っている

輸入車の中でも、並行輸入車は海外仕様のまま輸入されるため車検で通らないケースが多いです。海外製の右側通行を想定して作られた左ハンドルの車の場合、カットオフラインが右上がりになっています。カットオフラインとは、対向車ドライバーをヘッドライトの光で眩しくさせないため対向車側の光をカットする構造のヘッドライトの配光特性のことを言い、右上がりということは左側の光がカットされた右側通行用ヘッドライトを意味します。左側通行の日本では、ヘッドライトのカットオフラインが右上がりになっていては車検に通りません。輸入車に乗りたい人で、正規ディーラー仕様ではなく並行輸入モデルを考えられている方は、ヘッドライトが日本仕様になっているかどうかも確かめておきましょう。

車検で見られる!ヘッドライト検査の検査基準

ヘッドライト検査(ロービーム検査)の検査基準は、主に次の3つです。

● 光度
● 光軸
● ヘッドライトの色や点灯の状態

以下では、それぞれの検査基準について詳しく解説します。

光度

ヘッドライトの明るさの検査です。ここでは、ヘッドライト内のリフレクターに反射した光度が基準を満たしているか検査されます。
光度の基準は、一つのライトに対して6,400カンデラ以上なければいけません。

光軸

光軸とは、光が照らす方向のことです。車検時の基準は、前方10mの位置でのエルボー点(ヘッドライトの光が角度を持ってカットされる部分)が規定の範囲にあることです。

ヘッドライトの色・点灯の状態

ヘッドライトの色は白色のみとされました。また、ヘッドライトが点灯しない場合や、光度が安定していない場合も車検に通りません。また、ヘッドライトレンズの表面にヒビ割れや、亀裂などの破損が見られる場合にも車検は通りません。

ヘッドライト交換のタイミングや費用

ヘッドライトは、夜間走行時に周囲を照らしてくれる重要な役割を担っています。そのため、ヘッドライトの交換は適切な時期に行いましょう。

以下では、ヘッドライトを交換するタイミングや費用について解説します。

交換するタイミング

ヘッドライトの交換は、バルブ(電球)のみの交換とヘッドライト自体の交換の2つがあります。片方のヘッドライトがつかなくなったり、光がちらついていたりする場合は、まずバルブを交換してみましょう。また、ヘッドライト自体に破損がある場合やレンズの曇りや黄ばみが取れない、ヘッドライト内部のリフレクターの劣化などの不具合の場合は、ヘッドライト自体の交換が必要となります。

費用はどれくらい?

バルブやヘッドライト自体の交換の費用は、種類によって大きく金額が異なります。ヘッドライトの交換ができる場所と費用相場は下記のとおりです。なお、バルブ交換費用はハロゲンバルブ交換での想定です。

● ディーラー
ヘッドライト交換は、約3万円〜。バルブ交換は、約4,000円〜。
● 整備工場
ヘッドライト交換は、約2万円〜。バルブ交換は、約2,500円〜。
● ガソリンスタンド
ヘッドライト交換は、約2万5,000円〜。バルブ交換は、約2,500円〜。
● カー用品店
ヘッドライト交換は、約2万5,000円〜。バルブ交換は、約2,000円〜。

ディーラーの費用相場が高くなっているのは、純正パーツの使用や工賃が他と比べて高めなためです。純正パーツにこだわりたい方はディーラーに、価格の安さ重視に考える方は整備工場やカー用品店に依頼するなど、ヘッドライトを交換する際は、自分の希望条件に合った店舗選びをしましょう。また、ヘッドライト交換の費用は部品代が占める割合が大きいため、一般的には高級車になるほど高額になりがちです。特に輸入車は、国産車の何倍もの部品価格の場合があります。費用を抑えたい場合は中古品と交換するのも一つの方法となります。

LEDに変えてもOK!ただし注意点あり

寿命が長く消費電力が少ないため、コストパフォーマンスが良いと人気のLEDライトですが、車検の際には気を付けなければいけない点があります。まず、ヘッドライトをLEDに変えること自体は問題ありません。LEDヘッドライトが原因で車検に通らなかった車は、LEDヘッドライトの明るさや向きが検査基準を満たしていないことが原因です。そのため、ヘッドライトをLEDに変える場合は、検査基準を満たした適切なLEDヘッドライトを選ぶようにしましょう。

LEDヘッドライトを選ぶ際のポイントは以下のとおりです。

● 車検対応や保安基準適合などが記載されているもの
● 国産メーカー品
● 車種専用設計のもの

車検対応や保安基準適合などが記載されているもの

LEDヘッドライトの中には、車検適合と表示されているものもあります。車検に適合するかチェックしてから販売しているため、車検適合と表示されているものを選ぶと車検に通る可能性は高くなります。

国産メーカー品

LEDは180度しか照射できないため、適切な位置にLEDが配列している必要があります。国産メーカーの方が海外メーカーに比べ比較的高価ですが、配列や高精度な組み付けをしている商品が多い傾向があります。

車検に通ることはもちろん、安全面からも国産メーカー品の使用をおすすめします。

車種専用設計のもの

車種専用設計のLEDバルブであれば、純正のバルブと形状が同じであるなど、それぞれの車種に合わせて設計されているため、車検に通らない可能性は低くなります。

高価であることや車種によっては専用設計のものがない場合もありますが、車検を受ける車の車種専用設計LEDバルブがある場合は、車検に通りやすくなるのでおすすめです。

2024年8月以降はロービーム計測のみになる

前述したとおり、2024年8月以降の車検のヘッドライト検査は、対象自動車については全車ロービーム計測のみとなります。2024年8月までは従来どおり、原則としてロービームでの計測ですが、ロービーム計測ができない自動車に関しては、ハイビームで計測することが可能です。

その背景としては、2015年9月に法律が変更され、2018年6月から過渡期の取り扱いとして上記のようにハイビームでの検査も行っていましたが、それから約5年が経ち審査体制の整備が完了したためです。

なお、対象自動車とは、1998年9月1日以降に製造された自動車になります。

定期的にヘッドライトの点検をしよう

ヘッドライトは、暗い場所で周りを照らしてくれる安全走行をする上で重要なパーツです。ヘッドライトがつかない状態では車検はもちろん、公道を走ることもできません。

ヘッドライトの検査基準をクリアするポイントは、ヘッドライトの光度や色・光軸照射の範囲・ヘッドライトの点灯状態などです。日頃から、ヘッドライトの状態を確認し点灯しなくなる前に交換するようにしましょう。