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タイヤが原因で車検に通らない?通過するためのチェックポイントとは

2024.03.20

車検では、保安基準に基づきタイヤについても厳しくチェックされます。タイヤが理由で車検に通らないケースもあり、そういった経験をされた方も多いのではないでしょうか。車検でタイヤのチェック項目をクリアするためには、タイヤの溝やヒビ・偏摩耗などを確認しておく必要があります。

本記事では、車検に通るためのタイヤのチェックポイントや、タイヤの管理方法について解説します。この記事を参考に、車検前にタイヤの状態を確認しておきましょう。

車検に通るためのタイヤのチェックポイント

車検は、道路運送車両法で定められている保安基準に従って検査をします。

以下では、車検に通るためのタイヤのチェックポイントについて解説します。

タイヤの溝の深さ

タイヤの溝が浅くなると、ブレーキが効きにくくなったり排水効果が低下したりする恐れがあります。道路運送車両法の保安基準では、乗用車のタイヤ全周の溝の深さは1.6mm以上でなければいけないと定められています。

車検の際には、タイヤの溝の深さを目視や測定器具を使用して検査し、溝が1.6mm未満の場合は、タイヤのトレッド面の溝の中に何か所か設けられているスリップサインがタイヤ接地面に出るため車検には通りません。そのため車検前には、このスリップサインが出ていないかよくチェックしておきましょう。

タイヤのサイズ

自動車のタイヤサイズは軽自動車から普通車まで様々なサイズがあるため、車検に通るタイヤのサイズは、厳密に決められているわけではありません。しかし、タイヤの外径が大きくなるとスピードメーターに誤差が生じます。また、タイヤの幅が基準値よりも大きくフェンダーからはみ出していたり、走行中に車体に干渉するサイズのタイヤを付けていたりすると、車検に通りません。

車検に通るタイヤサイズが分からない方は、その車の新車時に装着されていた純正サイズのタイヤを使用すると良いです。タイヤサイズを純正のサイズよりも小さい、または大きいものに変更する際は注意が必要です。

偏摩耗

偏摩耗とは、タイヤのトレッド(路面と接触する部分)が部分的に異常に摩擦する現象です。偏摩耗したタイヤで走行を続けると振動や騒音の原因にもなり、さらにタイヤの寿命を縮める可能性もあります。

偏摩耗には、片べり摩耗・両肩べり摩耗・センター摩耗があります。片べり摩耗は足回りの整備不良が、両肩べり摩耗は空気圧不足が、センター摩耗は空気圧過多が原因であることが多いです。

偏摩耗を理由に、車検に通らないことはありませんが、スリップサインが一か所でも出ている場合には不合格となります。また、接地面のスリップサインが出ていなくても、偏摩耗によってスリップサインの無いタイヤの角なども内部のワイヤーが露出したりしていると車検に通らないため注意が必要です。

ヒビ割れ

タイヤのヒビ割れは、パンクやバーストに繋がる恐れがあるため点検対象となります。ヒビ割れの原因は、タイヤゴムの経年劣化や太陽光(紫外線)による劣化などです。また、タイヤの空気圧が不足した状態で常に走行しているとタイヤに変形や衝撃など負荷がかかり易く、ヒビ割れを進行させます。

ヒビ割れが軽度であれば、車検で不合格にはなりませんが、酷いヒビ割れやタイヤ内部のカーカス(ワイヤー製の骨格部分)が露出するほどの深いヒビ割れがある場合には不合格となります。

インチアップでの注意点

インチアップとは、自動車のホイールの外径を大きいものに変えることです。ホイールを大きくすると必然的にタイヤ交換も必要になります。この際、タイヤの外径が大きくなりますが、上記のように外径が変わると車検に通らない場合があるため、一般的にはタイヤのサイズの外径は変えずにホイールサイズのみ大きくするパターンが多いです。そうすると、ホイールが大きくタイヤは薄く見えるため、見た目がかっこよくなるという理由で、ドレスアップを目的にインチアップをしている人もいるでしょう。

しかし、インチアップは、事故に繋がったり車検に通らなかったりする恐れがあるため注意が必要です。車検に通るために、インチアップする際に気を付けるべきことは以下のような点です。

● 荷重指数が下がらないようにする
● 車体に干渉しないようにする
● スピードメーターに注意する

車体のドレスアップのためにインチアップをしたい方は、これらの点に気を付けて適切に行いましょう。

荷重指数が下がらないようにする

荷重指数とは、タイヤが支えることができる最大の重さを示す数値です。ロードインデックス(LI)とも呼ばれます。一般的にインチアップなどでタイヤが薄くなる(=扁平率が下がる)と荷重指数も低下します。そうなると、車の重さにタイヤが耐え切れずパンクする恐れが出てきます。インチアップする際は、荷重指数(ロードインデックス)が不足しないようにしましょう。その車の新車時から付いている標準タイヤのロードインデックスを下回らないことが重要です。

車体に干渉しないようにする

インチアップでタイヤの外径が大きくなったり、インチアップと同時に車の車高を下げたりすると、フェンダーとタイヤの隙間が少なくなったり、フェンダーがタイヤに被ったりする場合があります。そうすると、走行中のタイヤの上下でタイヤがフェンダーに干渉する恐れが出てきます。フェンダーの爪(アーチにあるふちの部分)にタイヤが当たると、タイヤにキズが付きパンクする恐れがありますし、車検に通らない原因となるので注意しましょう。

スピードメーターに注意する

自動車のスピードメーターは簡単に言うとタイヤの回転数を測定して速度を表示しています。同じ回転数でもタイヤの直径が変わると自動車が進む距離が変わってきます。ということは、タイヤの直径が変わるとスピードメーターの表示も変わってくるということです。車検では、スピードメーターの誤差について検査があり、基準を超える誤差があると車検に通りません。インチアップで純正タイヤよりタイヤの外径が大きいものに交換した場合、スピードメーターの誤差が大きくなるため、車検に通らない可能性が高まるので注意が必要です。

タイヤが車検で厳しくチェックされる理由

車は多くのパーツによって構成されています。その中でも、路面と接触するタイヤは走行に大きな影響を及ぼします。そのため、車検でも厳しくチェックされるのです。

以下では、タイヤが車検で厳しくチェックされる理由について詳しく解説します。

安全を左右するため

タイヤは唯一路面に直接触れるパーツであり、タイヤと路面の摩擦力を使って車は走ることが出来ます。また、車のブレーキのその摩擦力を利用しています。そのため、タイヤの性能によっては搭乗者はもちろんのこと、同乗者や通行人などの安全をも左右します。そのため、タイヤには車の重量や高速道路での走行に耐えられるようにサイズや空気圧などが定められています。

法律で定められており罰則も設けられているため

車の走行安全性を左右するタイヤには、今まで言ってきたように様々な部分で保安基準(道路運送車両の保安基準)により規定が定められています。そのため、この規定に違反していた場合は車検に通らないわけですが、タイヤの溝がすり減り保安基準に違反した状態で走行すると、道路交通法での「整備不良」としても違反となります。その際、運転免許には違反点数2点が加算されます。罰金も課されるため、保安基準に違反したタイヤで走行することは避けましょう。

車検を通過するためのタイヤ管理方法

車検に通過するためには、定期的にタイヤの状態を確認・調整することが大切です。ここでは、車検に通るために効果的なタイヤの管理方法について解説します。

空気圧のチェック

空気圧が低くなったタイヤで走行すると、ハンドルが取られ易くなり、両肩べり摩耗やパンクの原因になります。逆に、空気圧が高すぎると、直進安定性が損なわれたりセンター摩耗の原因となります。タイヤ内の空気は自然に抜けてしまうため、1カ月に1回程度は空気圧点検を行いましょう。空気圧の点検は整備工場以外でもガソリンスタンドやカー用品店でも行ってもらえます。

タイヤのローテーションを行う

タイヤのローテーションとは、タイヤの前後、左右などの装着位置を入れ替えることです。タイヤのローテーションを行うことで、偏摩耗を防げる場合があります。4つのタイヤは、車の駆動方式(前輪駆動、後輪駆動)による前後タイヤの役割の違いや前後で異なる荷重負荷がかかったりなどで消耗度合いが違ってきます。タイヤの入れ替えをすることで、タイヤの寿命を延ばしたり、走行中のバーストによるトラブルを防ぐことが可能になるでしょう。

外傷のチェック

タイヤのヒビ割れや傷も車検の検査対象です。タイヤに傷やヒビ割れがあると、バーストの危険性が高くなります。車検前はもちろん、普段からタイヤの表面に外傷がないか確認しておきましょう。

ホイールアライメントの確認・調整

ホイールアライメントとは、タイヤを取り付ける角度のことです。タイヤホイールは、サスペンションやステアリング機構と繋がっています。タイヤホイールの取り付け角度が適切でない場合、タイヤの偏摩耗や直進安定性に欠けるなどの不具合が発生することがあります。

定期的にホイールアライメントを確認し、必要であれば専門家に調整してもらいましょう。定期的にホイールアライメントを確認することで、安全走行はもちろん車検に通る可能性が高くなります。

安全運転を心掛ける

安全運転を心掛けてタイヤにかかる負荷や衝撃を減らすことで、摩耗や片減り、外傷を防げます。急ブレーキや急発進は、タイヤに大きな負荷を与えてしまうため、坂道発進や急斜面・急カーブが続く道を走行する場合は、特に安全運転を心掛けましょう。また、店舗や駐車場への出入りの際に段差がある場合はなるべくゆっくり乗り越えるようにしましょう。

安全な走行のためにタイヤの定期点検を

タイヤは、安全に走行するために重要な役割を担っています。そのため、車検では厳しく検査されるパーツのうちの一つです。タイヤにヒビ割れや偏摩耗などがあると車検に通らない可能性があります。

タイヤの定期点検は、安全走行や事故を起こさないためにも大切です。車検をスムーズに通すためにも、定期的にタイヤの点検を行いましょう。