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板金屋さんと自動車整備工場って何が違うの?目的は?

2023.05.18

自動車のボディにできた傷やへこみを修理するには、板金屋さんあるいは自動車整備工場に相談するのが一般的です。どちらも自動車の修理を依頼できますが、板金屋さんと自動車整備工場とでは明確に違いがあります。本記事では、板金屋さんと自動車整備工場の異なる点について、詳しく紹介します。

車業界における板金とは?

まずは板金屋さんと自動車整備工場の違いについて見ていく前に、板金とは何かについて説明します。板金とは金属を板のように薄く伸ばしたものです。また、板のように薄く伸ばされた金属に対し、さらに力を加えて加工する行為のことも板金といいます。

また、板金は、車業界においては車のボディに傷やへこみができてしまった際に、ボディの傷やへこみを直す工程からその後の塗装までの修理作業を指します。そのため、車業界ではボディの修理作業を、板金塗装とも呼びます。
私たちが一般的に呼んでいる板金屋さんとは板金塗装修理工場(以下、板金修理工場)のことを指します。板金修理工場内では、主に傷やへこみを直す作業と塗装する作業をそれぞれ別の従業員が行う場合が多く、前者を板金屋さん、後者を塗装屋さんと呼ぶ場合もあります。
また、自動車の板金については鈑金と表記する場合もありますが同じです。

板金修理工場と自動車整備工場の異なる点

自動車のボディにできた傷やへこみは、板金修理工場あるいは自動車整備工場に依頼して専門的に直してもらいます。どちらでもしっかりと修理してもらえますが、板金修理工場と自動車整備工場には明確な違いがあります。

板金修理工場は、車のドアやバンパー、ボンネット、ルーフ、トランクなどの車体周りの外部パネルに関する修理を専門としているのが特徴です。その修理に関する国家資格として車体整備士という資格もありますが、板金修理工場では工場で修理を行う従業員に国家資格は必要としません。だからといって、技術が信頼できないというわけではありません。板金修理工場で働く一人前の従業員として認められるまでには、長年にわたって経験を積むことが必要です。経験に基づいて確かな能力のある従業員が板金塗装を行うので、安心して任せられるでしょう。

一方、自動車整備工場では、工場で働く従業員の中には国家資格の1つである自動車整備士資格を持っている人がいる必要があります。これは、自動車のボディだけでなく、エンジンやブレーキ等安全や公害防止に関わる各部品などまで修理を行うためです。安全や公害防止に関わる修理を行う以上、ミスはそのまま事故や排気ガスによる公害につながります。そのため、自動車整備工場には国家資格を持った自動車整備士がいる必要があるのです。

板金塗装を依頼する修理例

板金塗装に限定して自動車の修理を依頼する際の例について、いくつか見ていきましょう。

1. 傷が付いた

先述のように、自動車のボディに付いた傷は板金塗装で修理します。自動車のボディは常に外に出ているものであるため、多くの要因によって傷が付きます。道路を走行中に巻き上げた石や砂がぶつかったり、停車中に鍵や荷物がぶつかったり、猫や鳥によって引っかき傷を付けられたりとさまざまです。

傷が小さかったとしても、あなどってはいけません。自動車のボディの塗装は、非常に薄いです。そのため、小さな傷によって塗装が剥がれてしまい、内部の金属が露出してしまうことがあります。金属は錆びに弱く、外気に晒されたり雨に濡れたりすれば、小さな傷をきっかけに気付かないうちに錆びてしまうでしょう。

2. へこみができた

傷のほか、ボディにできたへこみを直すのも板金塗装の修理範囲に含まれます。自動車のボディは金属であるため、障害物にぶつかったり、重い荷物をぶつけてしまったりなど、強い衝撃を受けることでへこんでしまいます。

ボディのへこみは、その自動車の見た目の雰囲気を著しく悪くする原因の1つです。また、へこみそのものはボディの錆びにはつながらないものの、へこんでいるために塗装が剥げ落ちやすくなり、それによって露出した金属部分が錆びてしまうことが考えられます。傷が付いた際と同様に、できるだけ早く板金塗装を依頼した方がよいでしょう。

3. 錆びた

錆びは金属の天敵です。金属は空気や雨によって錆びやすく、その強度を低下させます。自動車の場合、脆くなった部分から部品が脱落したり、破損したりといったことが考えられます。深刻な錆びは、命に関わる事故に発展するかもしれません。

どれだけ小さい錆びでも、そのままにしておけば腐食はどんどん増えていきます。場合によっては穴が開いてしまうこともあるので、傷やへこみができた際は錆びる前に板金塗装で修理しましょう。錆びが見られた際も、広がる前に速やかに板金修理工場あるいは自動車整備工場に修理を依頼するべきです。

4. 塗装の剥がれがあった

パッと見ただけでは傷やへこみ、錆びが見られないような状態の自動車のボディも、購入してから長い年月が経ってしまったために表面のコーティングが剥がれてしまっている場合があります。自動車のボディのコーティングや塗装は、金属部分を守る役割を持っています。剥がれてしまうと錆びにつながる恐れがあるので、最適なタイミングで板金塗装を依頼しましょう。

板金修理工場と自動車整備工場は車のどこまで修理できるかが異なる

自動車整備工場では板金修理工場と違い、板金塗装の他にエンジンやブレーキなど車が走る上での安全や公害防止に関わる部分まで細かい修理を行うことが可能です。工場で働く従業員の資格の有無という点でも異なり、自動車整備工場には国家資格である自動車整備士資格を持った従業員が必要です。

一方で、板金修理工場と自動車整備工場は、どちらも自動車の板金塗装を依頼できるという点で共通しています。自動車のボディに傷やへこみが見られた際は、信頼できる板金修理工場や自動車整備工場に依頼しましょう。