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車検費用が払えない場合はどうすればいいのか? 車検切れのリスクと一緒に解説

2023.03.30

車検の時期になると、まとまった費用を用意しなければならないのが大変という声をよく聞きます。どうしても費用が捻出できず車検切れになってしまった場合、どのようなことが起こるのでしょうか。
本記事では、車検費用が払えない場合の対処法を、車検切れのリスクとともに解説します。

車検費用が払えない場合の対処法

車検費用が払えない場合には、次の5つの対処法を取るのがおすすめです。費用が用意できなかったからと諦めず、前向きに検討しましょう。

<車検費用が払えない場合の5つの対処法>

● クレジットカードの利用
● 車検ローンの利用
● 銀行系マイカーローンの利用
● その他金融機関のカードローンキャッシングの利用
● 車検業者に相談

以下、これら5つの対処法について具体的に解説していきます。

クレジットカードの利用

車検を依頼するディーラーや車検の専門店などの業者の中には、クレジットカードで車検費用の支払いができるところもあります。クレジットの利用枠内であれば事前審査も必要ありませんからローンなどよりも利用しやすいでしょう。分割払いやボーナス払いなども選べる場合があります。ただし、車検費用の内法定費用(自賠責保険料・重量税・印紙代)はクレジットカードを利用できない場合が多いため、その際はある程度の現金が必要になるので業者に前もって相談しましょう。

車検ローンの利用

業者が提携している車検ローンを利用するという方法です。利用には利用店舗での事前審査が必要で少し手間はかかりますが、ローンの審査に通過すれば、車検費用全額が分割払いで支払えるようになるので、現金を極力払いたくない場合は有効な方法です。

銀行系マイカーローンの利用

口座取引のある銀行のマイカーローンを利用する方法です。銀行系マイカーローンは、全体的に審査が厳しいですが、低い金利商品が多い傾向にあります。こちらも車検ローンと同様、審査に通過すれば利用することが可能ですから、取引銀行に相談してみましょう。

その他金融機関のカードローンキャッシングの利用

クレジットカード、車検ローンやマイカーローンの審査に通過できなかった場合には、その他金融機関(消費者金融など)のカードローンキャッシングの利用を検討してみるのも一つの方法です。ただし、利用金利が高めなので注意が必要です。

車検業者に相談

上記のような支払いが難しい場合でも、まずは諦めず車検業者に相談してみましょう。業者によっては、車検費用の分割払いに応じてもらえる可能性もありますし、支払いについて良い方法を提案してもらえるかもしれません。車検費用の支払いが難しい場合には、車検業者に一度相談してみましょう。

車検切れとなった場合のリスク

もし車検費用を準備できず車検切れとなった場合には、公道を走行できなくなりますが、それでも走行した場合は次のような4つのリスクがあります。それぞれ決して放置できないものばかりなので、しっかり確認しておきましょう。

<車検切れとなった場合の4つのリスク>

● 罰則の対象となる
● 自賠責保険が適応外となる
● 免許取り消しの可能性がある
● 走行したい場合には仮ナンバーが必要

以下、これら4つのリスクについて順に解説していきます。

1.罰則の対象となる

万が一車検切れの状態で車を公道で走行させると無車検運行となり、道路運送車両法第58条の違反の対象になり、同法108条の処罰の対象になります。
また、車検が切れている場合、車検と同時に更新する自賠責保険の有効期間も切れている場合があります。自賠責保険も切れている状態で走行した場合は、無保険運行となり、自動車損害賠償保障法違反が加わります。下記にそれぞれの違反点数・罰則と罰金を示しますが両方の違反の場合は併合罪として1年6カ月以下の懲役または80万円以下の罰金の可能性もあります。


無車検運行の違反点数・罰則と罰金
違反点数:6点
罰則と罰金:6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金
行政処分:免許停止

無保険運行の違反点数・罰則と罰金
違反点数:6点
罰則と罰金:1年以下の懲役または50万円以下の罰金

行政処分:免許停止

2.自賠責保険が適応外となる

車検切れに加えて自賠責保険まで切れた車を走行させ事故を起こしてしまうと、自賠責保険の適応外となります。任意保険に加入している場合でも、あくまでも任意保険は対人賠償について自賠責保険の上乗せとなるため、自賠責保険の補償範囲部分は自己負担となる可能性もあるため注意しましょう。

※自賠責保険とは、自動車損害賠償責任保険のことで、すべての自動車に加入が義務付けられています。この保険の目的は、自動車事故の被害者を救済することであり、あなたがもし車で誰かを傷付けてしまった場合の賠償に必要なものです。自賠責保険の期間は自動車損害賠償保障法で車検証の有効期間の満了日を満たさないといけないとされており、自動車の購入時や車検時に満了日より長く契約されます。一般的には車検満了日より1カ月長く契約されますが満了日を満たしていればいいため、車検が切れてすぐに自賠責保険も切れてしまうような契約も可能です。そのため、車検の満了日と自賠責の有効期間は最大でも1ヵ月しか違わず、車検切れの車は自賠責保険の有効期間も切れている可能性が高いのです。

3.免許取り消しの可能性がある

車検切れでの運行には前述したように違反点数6点の付加となりますが、免許の取り消しや停止の基準点数は過去3年以内の免許の停止や免許の取り消し等を受けた回数(前歴)によって違います。そのため、前歴によっては車検切れ運行の違反点数6点の付加だけで免許取り消しとなる場合があります。

4.車検切れでも自動車税は課税される

車検切れの車でも自動車税は課税されるので注意が必要です。そのため、しばらく車を使用しない場合は、税金の支払いを止めるための手続きを行うべきです。自動車税の支払いを止めるには、一時抹消、もしくは自動車税事務所への申し立て申請のいずれかの手続きを行う必要があります。

一時抹消とは、一時的に車の所有権を放棄する手続きです。自動車税は車の所有者にかけられる税金なので、所有者不在となれば税金は発生しません。この手続きは運輸支局(軽自動車は軽自動車検査協会)で行えます。

これと似たものとして永久抹消という手続きがあります。永久抹消は車の解体後に行う手続きで、その車は二度と使用できません。

なお、車検が切れて数ヵ月後に一時抹消手続きを行った場合でも支払った自動車税は還付されます。この場合、還付手続きの申立書を申請後、約2〜3ヵ月程度で還付金が受け取れます。

走行させたい場合に仮ナンバーを取得する

それでは、車検切れの間は車を動かさなければ上記のようなデメリットはないと考える方もおられるでしょう。しかし、車検費用が準備できたなどで車検を受けるためには車検業者まで移動させる必要があります。その場合、業者に運んでもらうか、自分で運ぶ必要が出てきます。そこで、その対処法として仮ナンバー(赤い斜線が引かれているナンバープレート)を取得するという手があります。正式には自動車臨時運行許可番号標といい、仮ナンバーを取得すると、5日以内の日数でその車の運転が可能になり、車を車検をする業者などへ移動させることができます。

仮ナンバーは、自身が居住する市区町村の役場で申請します。
申請後その場で仮ナンバーは交付されます。なお、仮ナンバーでは、申請時に記入した目的以外で車を利用することはできません。今回のケースだと、仮ナンバー取得の目的は車を車検をする業者へ移動させることであり、それ以外の用途で車を公道で走らせてはいけません。上述のとおり、仮ナンバーには有効期限があり、利用期限終了後5日以内に返却する必要があります。もし返却を行わなかった場合、道路輸送車両法の規定により半年以下の懲役刑、もしくは30万円以下の罰金が課せられる可能性があります。ただし、5日目が役場の休日の場合はその翌日までに返却すれば問題ありません。

仮ナンバーの取得に必要なもの
・自動車臨時運行許可申請書(役場などで入手可能)
・自動車損害賠償責任保険証明書の原本
・車検証や抹消登録証明書のコピー
・申請者の住所と名前がわかる身分証明書(免許証、パスポートなど)
・1車両につき概ね750円前後の手数料(自治体によって異なる場合があります。)

※仮ナンバーは、買い物や病院に行くなどの日常での走行には利用することはできませんので注意しましょう。

ローダーの手配は6時間で1万5,000円ほど

車検切れの車を移動させる手段は他にもあります。たとえば、ローダーをレンタルし、車を車検場まで運ぶといった手も考えられます。
ローダーとは、車や建築機械を運ぶために用いられる運搬用トラックです。荷台部分をスライドさせて地面と接地させることで、車を持ち上げることなく荷台に積むことができます。レンタル料金は6時間1万5,000円、24時間2万5,000円程度です。ただし、ローダーをレンタルし運転するためには運転免許証の条件に注意が必要です。レンタルするローダーの重量や積載量によっては運転できない場合があるため事前にレンタル業者に確認を取りましょう。また、業者に車の移動をお願いすることもできます。ただし、後輪が地面に接地するレッカー車での運搬はできません。そのため、業者に依頼する際も積載車で対応してもらうことになるでしょう。

※レッカー車は車の前輪部分を持ち上げて牽引しますが、後輪部分は道路と接地しており、公道を走っているのと同じとみなされるため、車検切れの車は利用できないのです。

車検費用が払えない場合のリスクを知り事前に対処をしておこう

車検費用が払えず、車検が切れた場合は上記のような様々なリスクがあります。

ディーラーや車検業者によっては、クレジットカードやローンを利用した費用の支払いにも対応しているので、費用の準備が難しい場合には車検が切れないように余裕をもって相談してみるのがおすすめです。
場合によっては、業者が車検費用の分割払いに応じてもらえることもありますが、支払いが遅れた場合は、業者から催促され、それでも滞納が解消しない場合には、それ以上の取引を停止される可能性もありますので、なるべくクレジットカードやローンの利用をされる方が賢明です。
また、車検業者によって車検の費用も異なりますので、少しでも費用を抑えたい場合にはサービス内容も確認した上で、なるべく料金の安い業者を選ぶと良いでしょう。