
商用車の車検は1年ごとに必要? 車検の有効期間や費用相場を解説
貨物の運搬や乗客の運送などの業務に使用する商用車は、毎年車検を受けることが義務付けられています。一般的な乗用車の場合、車検は2年ごとに受けるため「なぜ商用車だけ頻度が高いの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、商用車の車検に関する基礎知識と、車検のスパンが短い理由、車検にかかる費用目安、車検費用を抑えるポイントをまとめました。
「商用車の車検は1年ごとって本当?」「乗用車と比べてどのくらいの費用がかかるの?」といった疑問を感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。
【この記事で分かること】
●商用車と乗用車で車検期間が異なる理由
●商用車の車検費用の内訳と相場
●商用車の車検費用を抑える方法
商用車の車検は毎年必要? 車検のルールを解説
道路運送車両法第61条では、以下2つの自動車の車検有効期間を1年と定めています(※)。
1. 旅客を運送する自動車運送事業の用に供する自動車:路線バスや観光バス、タクシー、スクールバスなど
2. 貨物の運送の用に供する自動車:貨物の運送に用いるトラックやライトバンなど
なお、車両総重量8トン未満の貨物車の場合、新車登録後に初めて受ける車検に限り、車検有効期間は2年です(※)。例えば、2026年3月に新車で購入(登録)した場合、初めての車検は2年後の2028年3月となり、以後は1年ごとに車検を受けることになります。
一方、車両総重量が8トン以上の貨物の用に供する自動車や、観光バスやタクシーといった旅客運送事業用の自動車は、初回および2回目以降ともに車検有効期間は1年です。
4ナンバーの軽自動車は有効期間が異なる
同じ商用車でも、4ナンバーかつ軽自動車に分類される車両は他と異なるルールが適用されます。4ナンバーとは貨物自動車のうち、4から始まるナンバーの対象になる車両のことです。400、40Aといったナンバーが該当し、代表例として軽トラックや軽バンなどが挙げられます。
4ナンバーは道路運送車両法における検査対象軽自動車に分類されるため、同法61条の規定により、車検の有効期間は初回・2回目以降ともに2年です(※)。
乗用車より短いのはなぜ? 商用車の車検有効期間が1年の理由
一部例外を除き、商用車は乗用車よりも短いスパンで車検を受けなければなりませんが、その理由は大きく分けて2つあります。
1つ目は、車両の利用状況です。商用車は多人数や重い荷物を運んだり、長距離走行や高速走行を行ったりする頻度が乗用車より高い傾向にあります。そのため、車両にかかる負担は大きく、車体や各パーツの消耗・劣化のスピードも速めです。
消耗・劣化が進むと故障や不具合を起こすリスクが高くなり、事故などにつながる恐れがあることから、乗用車よりも頻繁に車検を受ける必要があります。
2つ目は、人命を預かる重大な責務を負っているためです。路線バスや観光バス、タクシーなどは、乗客を安全かつ確実に目的地へ運ぶことを業としています。乗客が安心して利用できるようにするためにも、小まめな点検やメンテナンスを受け、安全性を維持することが求められています。
商用車の車検にかかる費用相場
商用車の車検では法定費用や車検基本料、整備費用が発生します。ここでは、それぞれの項目ごとに商用車の車検にかかる費用の相場をまとめました。
法定費用
法定費用は車検の際に発生し、具体的には自賠責保険料、自動車重量税、印紙代などが該当します。
これらの費用は法律で定められており、自賠責保険料や自動車重量税は車種や最大積載量、車両総重量、初年度登録からの経過年数などに応じて金額が決まります。
以下では、一例としてトラック、バンなどの自家用貨物自動車の料金をまとめました(※1)(※2)。
【自賠責保険料】
|
普通貨物自動車 |
【最大積載量2トン以下】1万6,900円(1万7,930円) 【最大積載量2トン超】1万8,230円(1万9,130円) |
|
小型貨物自動車 |
1万2,850円(1万3,710円) |
|
軽貨物自動車 |
1万7,540円(1万8,660円) |
自賠責保険料については2026年11月1日以降、かっこ内の料金への引き上げが予定されています(※3)。
【自動車重量税(軽自動車以外)】
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|
重量税額 |
||
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車両総重量 |
右以外 |
13年経過 |
18年経過 |
|
1トン以下 |
3,300円 |
4,100円 |
4,400円 |
|
~2トン |
6,600円 |
8,200円 |
8,800円 |
|
~2.5トン |
9,900円 |
12,300円 |
13,200円 |
|
~3トン |
12,300円 |
17,100円 |
18,900円 |
|
~4トン |
16,400円 |
22,800円 |
25,200円 |
|
~5トン |
20,500円 |
28,500円 |
31,500円 |
|
~6トン |
24,600円 |
34,200円 |
37,800円 |
|
~7トン |
28,700円 |
39,900円 |
44,100円 |
|
~8トン |
32,800円 |
45,600円 |
50,400円 |
【自動車重量税(軽自動車)】
|
右以外 |
13年経過 |
18年経過 |
|
6,600円 |
8,200円 |
8,800円 |
自動車重量税は新車登録から13年や18年を経過すると、段階的に税額が増加する点にも注意が必要です。なお、エコカー減税が適用される場合、自動車重量税が軽減または免除されることがあります。
印紙代とは、車検の検査や手続きにかかる手数料のことで、金額は検査方法によって異なります。以下では代表的なケースである3パターンをまとめました(※4)。
【印紙代】
|
|
普通自動車 |
小型自動車 |
軽自動車 |
|
持込検査 |
2,600円 |
2,500円 |
2,500円 |
|
保安基準適合証の提出 |
2,100円 |
2,100円 |
2,100円 |
持込検査とは、ユーザー車検または認証工場で整備した車を、運輸支局や軽自動車検査協会に持ち込む車検の方法です。一方、保安基準適合証の提出とは地方運輸支局長から指定を受けた指定工場で車検を受けた車について、保安基準に適合していることを証明する書類を提出する方法を指します。
指定工場では整備から検査まで一貫して行えるので、運輸支局への持ち込みが不要になる分、印紙代が若干安くなります。
またOSS申請を行った場合は、さらに印紙代が安くなります。OSS申請とは、車検に関する手続きや税・手数料の納付をオンラインで行えるサービスです。指定工場を通じてOSS申請を行った場合、印紙代は普通自動車・小型自動車ともに1,850円です。一般的な保安基準適合証の提出では2,100円であるため、250円の節約になります。
車検基本料・整備費用
車検基本料・整備費用は、業者による点検・整備に対して支払うものです。車検基本料の主な内訳は以下の通りです。
● 12カ月定期点検料:法律で定められた86項目(事業用自動車は101項目)を点検するための費用
● 保安確認検査料:法律で定める保安基準に適合しているかどうかを検査するための費用
● 検査機器使用料:完成検査で使用するテスターの利用料
● 車検代行手数料:ユーザーに代わって業者が車検手続きを代行するための費用
● 書類作成費用:車検手続きに必要な書類を作成するための費用
いずれも業者が任意に設定する費用であり、どこに車検を依頼したかによって料金に差が出ます。
また整備費用には、オイル交換やバッテリー交換など、消耗・劣化したパーツの修理・交換にかかる費用が含まれています。具体的な費用は車の状態や車検業者によって異なりますが、エンジンオイルやブレーキオイルの交換であれば1万円以内で済むケースが多いでしょう。ブレーキパッドやバッテリー、ファンベルト、ブーツ類の交換などを伴う場合は数万円以上の費用がかかる場合があります。
商用車の車検費用を安く抑える方法
商用車の車検費用をなるべく安く抑える3つの方法をご紹介します。
小まめに点検を行う
車検の整備費用は故障や不具合の度合いに比例するため、小まめに点検を行い、軽症のうちに必要な整備を行うことが節約につながります。商用車に関しては、毎年実施する車検の他に、6カ月ごと(事業用自動車は3カ月ごと)の定期点検が義務化されているので、忘れずに点検を受けるようにしましょう(※)。
上記に加え、日常点検を実施する習慣を付けておけば、不具合・故障の発生や事故トラブルの防止に役立ちます。具体的には、以下のような箇所を中心にチェックしておきましょう。
● ブレーキ:ブレーキの効きが十分か、ブレーキの液量が適当かなど
● タイヤ:タイヤの空気圧が適当か、摩耗や亀裂、損傷がないかなど
● バッテリー:液量が適当か、始動時のセルモーターの音が弱っていないか
● エンジン:冷却水の量やエンジンオイルの量が適当か、ファン・ベルトの張り具合が適当かなど
● 灯火装置および方向指示器:点灯・点滅に不良はないか、汚れや損傷がないか
● ウインドウォッシャーおよびワイパー:ウォッシャー液の量が適当か、ワイパーの払拭状態に不良はないかなど
● エアタンク:エアタンクに凝水がないか(エアブレーキの場合)
相見積もりを取る
車検基本料や整備費用は依頼先によって異なるため、複数社に対して相見積もりを取り、料金を比較してみましょう。
ただし、コストのみを重視して業者を選ぶと、必要な点検・整備が行われず、後のトラブルの原因となる可能性があります。特に、商用車は乗用車よりも負荷がかかりやすい傾向にあるので、事故防止のためにも、信頼と実績のある業者を慎重に選びましょう。
ユーザー車検を行う
ユーザー車検とは、点検から整備、持ち込み検査、手続きまで全てユーザー自身が行う車検です。ユーザー車検を実施すれば、車検基本料を丸ごと節約でき、トータル費用を安く抑えられます。
ただし、ユーザー車検を行う場合、点検・整備や必要書類の準備などにかなりの手間と時間を要します。さらに検査に不合格だった場合、点検・整備をやり直して再検査をしなければなりません。
また専門的な知識・経験がないまま点検・整備を行うと、車検に通ったとしても軽微な劣化や消耗を見逃してしまい、後の故障や事故リスクを高める要因になることもあります。
さらに、商用車は車両への負荷が大きく、用途によっては乗客や荷物の安全を守る重要な役割を担っています。確実に点検・整備を行い、故障や事故のリスクを抑えるためにも、プロによる点検・整備を受けることが大切です。
商用車の車検は一部例外を除き、毎年実施が必要
商用車の車検は、検査対象軽自動車など一部の例外を除き、基本的に毎年実施する必要があります。車検費用のうち、法定費用は法律で定められていますが、車検基本料や整備費用は車検の依頼先によって異なるので、リーズナブルなところを選べばコストを節約できるでしょう。
ただし、安さだけを重視すると劣化や消耗を見逃し、事故や故障のリスクが高くなる可能性があります。そのため、車検費用を抑えたいのなら相見積もりで条件を比較しつつ、信頼できる業者に任せるようにしましょう。
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