
車検は荷物を積んだままで大丈夫? リスクや注意点と準備のポイントを解説
車検を控えて「荷物を積んだままでも車検を受けられる??」「荷物は全部降ろしておくべき?」と不安に思う方は少なくありません。結論から言えば、少量であれば積んだままでも車検を受けられますが、内容や量によっては検査に影響が出る場合もあります。
本記事では、車検時に荷物を積んだままでよいのか、積んだまま受けるリスクや注意点、降ろしておくべき荷物の種類などを分かりやすく解説します。事前に準備しておけば、スムーズに車検を受けられるでしょう。
車検は荷物を積んだまま受けられるのか?
冒頭で触れた通り、少量であれば荷物を積んだままでも車検を受けることは可能です。ただし、大きな荷物や重い荷物を載せたままだと検査に影響が出る場合があり、不合格につながる恐れがあります。車検に荷物が及ぼす具体的な影響について、詳しく見ていきましょう。
荷物が検査項目に及ぼす影響
車検を受けるには、国が定める保安基準である「検査時車両状態」が条件とされています。検査時車両状態とは「空車の状態に運転者1名が乗った状態であること」です(※)。そのため、本来は荷物がない状態が望ましいとされています。実際には、衣類や小物など軽い荷物を置いている程度であれば検査に支障を来たすことはありませんが、重い荷物や後方視界を遮る物があると不合格の原因になる可能性があります。
また業者側の判断で荷物を移動されることもあり、その場合は破損や紛失のリスクも考えられます。こうしたトラブルを避けるためにも、車検前には不要な荷物を整理しておくと安心して受けられるでしょう。
荷物と自動車重量税の関係
車検時には、有効期間分の自動車重量税をまとめて支払います。この自動車重量税の額について「車内に積んだ荷物の重さが影響するのでは?」と心配な方もいるでしょう。しかし、車検当日に積んだ荷物の重さと税額とは関係がありません。
普通乗用車の課税額は「車両重量」を基準としています。車両重量とは簡単にいうと、運転できる状態にある車の重さです。車体本体に加え、満タン状態のガソリンやバッテリー、規定量のオイルや冷却水などが含まれます。
商用車の場合は「車両総重量」を基準として課税額が決められます。車両総重量とは車両重量に乗車定員分の重量(乗車定員数×55kgで算出)を加えた重さのことです。商用車の場合はこれに最大積載量も加えられます。車検当日に最大積載量を超えて荷物を積み、車両総重量が増えても、自動車重量税は増額されません。しかし、最大積載量を超えた荷物を積んだ状態、いわゆる積載オーバーの状態は車検の合否基準となる保安基準という法律に違反となるため車検には合格しません。また、前述したように車検の際には「検査時車両状態」である必要があり、そのような荷物を積んだ状態ではそもそも車検を行うことが出来ません。さらに、もし最大積載量を超えた状態で公道を走行した場合、道路交通法違反となり罰則の対象となるため注意しましょう。
荷物を積んだまま車検を受けるリスク・デメリット
荷物を積んだまま車検を受けると、検査や作業に思わぬ影響を及ぼすことがあります。ここからは、車検をスムーズに進めるために知っておきたい、具体的なリスクやデメリットを確認しておきましょう。
検査結果に影響するリスクがある
先述の通り、積んでいる荷物の量や重さによっては、車検の検査結果に影響が出る場合があります。特に大きな荷物を積んだ状態だと、ヘッドライトの光軸がずれてしまったり、ブレーキのバランスに誤差が出たりする恐れがあります。こうした誤差が原因で再検査になってしまうケースもあるため注意が必要です。少量であれば問題にならないことが多いですが、不要な荷物はできるだけ降ろしておく方がよいでしょう。
清掃サービスなど特典を受けられない可能性がある
ディーラーや一部の整備工場などでは、車検後に洗車や車内清掃のサービスを行ってくれる場合があります。しかし車内に荷物が多く残っていると、車内清掃のサービスを受けられないことがあります。せっかくのサービスを受けられないのはもったいないものです。そうした機会損失をしないためにも荷物は整理しておくと安心です。
所要時間が通常より長くなる可能性がある
車内に荷物が残っていると、検査員や整備士が点検を進める際に荷物を移動したり確認したりする手間が増える場合があります。その分車検にかかる所要時間が長くなってしまうこともあり、特にユーザーが待っている間に車検を行う短時間立ち会い車検の場合は、自分の待ち時間が増えることになります。また、短時間立ち会い車検でなく車を預ける場合でも、預ける前に荷物の確認などが必要となり、待ち時間が長くなることも考えられます。荷物をあらかじめ整理しておけば作業がスムーズに進むため、予定時間を超える心配も少なくなるでしょう。
車検前に降ろしておきたい荷物
車検をスムーズに進めるためには、実際にどの荷物を残して、どの荷物を降ろせばいいのでしょうか。ここでは、車検前に降ろしておくとよい荷物について具体的に解説します。
商用車の業務用機材や書類
商用車を利用している場合、業務用の機材や書類を積んだままにしていることが多いでしょう。しかし、先述のように車検時には検査員や整備士が積まれている荷物を移動する場合があります。万が一の紛失や破損などのトラブルを防ぐためにも、事前に空にしておくのがベストです。
また、業務用の書類には機密情報や個人情報なども含まれているかもしれません。商用車に限った話ではありませんが、コンプライアンスやセキュリティの観点からも、車検時は降ろして手元に保管しておくと安心です。
視界を遮る大きな荷物や装飾品
車検時には、車検中の車移動時の接触事故を防ぐなど、安全面の観点からも後方視界を妨げる荷物や装飾品は降ろしておくのが基本です。例えば、大きなぬいぐるみや飾りは視界が狭くなる原因になります。またゴルフバッグやキャンプ用品のような大型荷物は視界を狭めるだけでなく、トランクの開閉の妨げになるなど、検査の際に支障をきたす恐れがあります。
これは車検時だけでなく、日常走行でも危険につながるため、安全運転のためにも整理しておきましょう。
貴重品や破損しやすい物
現金や貴重品、精密機器、ガラス製品などは車検前に必ず降ろしておきましょう。現金や貴重品を残しておくと紛失トラブルにつながる可能性もあります。また、車検の過程では車を移動したり部品を確認したりするため、思わぬ振動や衝撃で破損してしまうリスクがあります。こうしたトラブルやリスクの原因を作らないことが、安心して車検を受けるために必要です。
チャイルドシート(代車利用の場合)
チャイルドシートは車検の検査対象に含まれていないため、車検時に取り外す必要はありませんが、もし車検中に代車を利用する場合は付け替える必要が出てきます。子育て世帯にとっては少し手間に感じるかもしれませんが、事前に外して準備しておく方がよいでしょう。また取り外しておくことで、車内の点検や車検後の室内清掃などがスムーズに進みやすくなるはずです。
置いたままでも問題になりにくい荷物
車検に影響する荷物や、トラブルやリスクにつながる荷物は降ろした方がよいですが、全ての荷物を降ろす必要はありません。ティッシュケースやゴミ箱、芳香剤などの小物類は、視界を遮ってさえいなければそのままでも問題ないでしょう。
車載工具や車載発炎筒などは必須の装備品です。三角表示板、スペアタイヤなど携行すべきアイテムも積んだままで問題ありません。さらにシートカバーやフロアマットも、基本的に検査に影響しないため、残しておいて大丈夫です。ただし、社外のフルカバータイプのシートカバーについては素材の難燃性が求められる場合があるため、前もって車検を行う業者に確認をしておきましょう。
「車内を空にしなければいけないのでは?」と心配する方もいますが、必要な装備や軽度の内装品はそのままで構いません。
荷物以外に準備しておきたいポイント
荷物の整理に加えて、車検前には基本的な点検や書類の確認も行っておくと安心です。まず、エンジンオイルやウォッシャー液などの液類は不足がないかチェックしましょう。ライト類やウインカー、タイヤの溝や空気圧、ワイパーの状態も車検の合否に直結する部分なので確認が欠かせません。
また車体に貼られたシールやステッカーが視界を妨げ、保安基準に合わない場合は不合格の原因となることがあります。心当たりがある場合は事前に剥がしておくと安心です。
さらに、車検証・自賠責保険証明書・納税証明書といった必要書類の準備も忘れずに。これらがそろっていないと手続きが進められません。
なお、ディーラーや専門業者に依頼する場合は多くの点検を任せられるため、自分で完璧に整備する必要はありません。強いていえば、簡単なチェックや掃除をしておけば作業もスムーズになります。
車検時の荷物に関するよくある質問
Q1. 車検までに荷物を片付けられない場合はどうする?
A. 少量で検査に支障がなければそのままでも受けられます。ただし、重い荷物や視界を妨げるものは降ろすのが望ましいため、最低限の整理は心がけましょう。
Q2. トランクの荷物は残しておいても大丈夫?
A. 車載工具やスペアタイヤといった標準装備品は問題ありません。しかし、ゴルフバッグやキャンプ用品など大型で重量がある荷物は検査に影響する可能性があるため降ろしておくのがおすすめです。
Q3. 積んだままにできる荷物の重さに制限はある?
A. 商用車(貨物車)には最大積載量が定められているため、その重さが制限となりますが、乗用車には荷物に関する重さの制限はありません。ただし、車検時の検査は「検査時車両状態」で行わないといけないため、車検の際は荷物を降ろすことが求められます。
Q4. チャイルドシートは外すべき?
A. 外さなくても問題はありませんが、代車を利用する場合や室内の点検や清掃をスムーズにしたい場合は外しておくと安心です。
まとめ
車検は、少量の荷物であれば積んだままでも基本的には受けられます。しかし、重量や配置によっては検査に影響する可能性があり、商用車の業務用機材や大型の荷物は降ろしておいた方が良いでしょう。また、貴重品や破損しやすい物は、トラブルやリスクを回避するためにも降ろしておく方が無難でしょう。
一方で、車載工具やスペアタイヤなど標準装備品は置いたままで問題ありません。チャイルドシートも取り付けたままで大丈夫です。さらに、オイルやタイヤ、ランプ類の点検、書類の準備など荷物以外のチェックも忘れずに行うことが大切です。
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