Column 速太郎コラム

フロントガラスにヒビがあっても車検は通るのか?

2024.02.20

フロントガラスにヒビが入っていても、その大きさやガラスの状態、そして検査員の判断によっては車検に通る場合もあります。だからといって、ヒビをいつまでも放っておくと、最終的にはフロントガラスごと交換する必要が出てくるかもしれません。そこで本記事では、車検の審査基準からヒビ割れの原因・対処法などについて詳しく解説します。

車検が通るか通らないかは検査員の判断次第

フロントガラスのヒビは車検の合否に大きく影響します。車検の審査基準では、運転席の視界の確保とガラスの強度が重要視されるポイントです。ヒビが運転席の視野に影響を与える場合やガラスの強度が低下していると判断されると、車検に不合格となる可能性が高まります。そして最終的な合否は検査員の判断に委ねられます。

フロントガラスの審査基準と検査員の判断

車のフロントガラスの審査基準は次のとおりです。

● 運転中の視界が十分に確保されていること
● 貫通されないだけの十分な強度があること

運転中の視界が十分に確保されていること

もしもフロントガラスにヒビが入っていても、車を運転する際にまったく支障がない、運転中の視界が完全に確保されていると判断されれば、車検の審査基準は満たされます。

またヒビがわずかであっても、ちょうど運転席の正面にあれば、視界が確保されているとは判断されず、車検は通らないでしょう。

貫通されないだけの十分な強度があること

フロントガラスは、衝撃緩衝と強度を兼ね備えた構造となっています。そのため、ガラスに何かが当たった場合も簡単に貫通することはありません。仮にフロントガラスのヒビが運転中の視界は確保できる状態であったとしても、強度が確保できないと検査員が判断すれば、車検はとおりません。

フロントガラスにヒビが入る原因

そもそも、なぜ頑丈なフロントガラスにヒビが入るのでしょうか。その原因として考えられるのは、次のようなものです。

● 道路上の石やトラックなどの積み荷からの落下物
● 凍結
● 洗車時の水

以下では各原因について詳しく解説します。

道路上の石やトラックなどの積み荷からの落下物

走行中に他の車から跳ね飛ばされた道路上の石が、フロントガラスに当たってヒビが入るという状況は、特にスピードの出ている高速道路でよく起こります。また、前を走っていたトラックやダンプカーなどの積み荷から落ちた砂利や落下物を避けきれずにフロントガラスに直撃したりなどの不可抗力により、ヒビが入るというケースも多くあります。そのため、砂利道などではスピードを出さない、高速道路では車間距離をしっかりと保つ、砂利などを積んでいるトラックやダンプカーとは距離を取るなどの注意が必要です。

凍結

寒い朝などに、フロントガラスに付いた霜を取るためにお湯をかけることがあると思います。急いでいるときは、つい熱湯をかけたくなるかもしれません。しかし、これはガラスのゆがみを起こす原因になります。また、霜を取るために無理にワイパーを動かすと、ワイパーに付いた氷でフロントガラスに傷が付く可能性があります。霜や凍結を解消させるためには、決してお湯を使わずに、ぬるま湯や解氷スプレーを使用するようにしましょう。

洗車時の水

凍結時と同じ理由で、暑い夏の洗車時に水をかけるときも注意が必要です。気温が高くなっている夏場は、車の表面温度はフロントガラスも含めて非常に高温となっています。そこにいきなり水をかけるとガラスに大きな負担がかかります。もしも小さな傷があった場合は、そこからヒビが広がってしまう可能性があるでしょう。

もしフロントガラスにヒビが入ったら?

フロントガラスにヒビが入った場合は、できるだけ早い処置が必要です。たとえ小さなヒビでも放置しておくと、それが広がってしまう可能性があります。

フィルムやテープによる応急処置

ヒビや傷が1cm以内の小さなものなら、セロハンテープや透明なフィルムなどを貼って応急処置をします。ただし、これはあくまでも応急処置なため、後でしっかりとした修理か補修を行う必要があります。

自分で補修する

補修はヒビの大きさによっては自分ですることも可能です。指先程度の傷ならカー用品店などで販売されているリペアキットを使って補修することも可能です。リペアキットは1,000〜3,000円程度で販売されています。ただし、リペアキットでの補修は素人では難易度が高いのも事実です。ヒビが小さく単純な形状で、かつヒビ割れが発生した直後以外はあまりおすすめできません。

業者に補修を依頼する

自分で補修する自信がない方やヒビが大きい場合は、業者に依頼するのがおすすめです。ヒビの大きさにもよりますが、補修費用の目安は1万5,000~3万円程度、作業時間は1時間程度です。ただし、ヒビや傷の大きさが500円玉以上(あくまで目安)の場合、複雑な形状のヒビや傷、窓枠に近い位置の傷になると補修は難しくなります。

フロントガラスの交換

補修ができない状態のヒビが入っている場合は、フロントガラスを丸ごと交換しなければなりません。車種やガラスの種類にもよりますが、その費用は6万〜15万円程度と、決して安い金額ではありません。特に、最近の新型車にはフロントガラスに衝突防止の為のカメラやセンサーなどが付いており、交換費用が古い車よりも高額になりがちです。

車両保険を利用することも可能ですが、等級が下がることで翌年の保険料が上がってしまうため、保険を使用する方が損をする場合もあります。どちらが得をするのかは、保険会社に相談して判断すると良いでしょう。

フロントガラスのヒビはできるだけ早く補修しよう

車検に通ったからといってフロントガラスのヒビや傷は放置せず、なるべく早く補修することが大切です。小さな傷だからと放っておくといつの間にか大きなヒビに広がり、フロントガラスごと交換しなければならなくなるかもしれません。安全面・費用面においても、ぜひ迅速な修理・補修を行ってください。