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スタッドレスタイヤでも車検は通ります! 車検のポイントを解説

2023.12.13

冬の雪道や凍結した路面などを走る際に役立つのが、スタッドレスタイヤです。タイヤチェーンのように雪の有無で脱着の必要がないため、便利で使いやすいのが魅力です。「冬に使用することが多いスタッドレスタイヤでも、車検は通るの?」と気になっている方がいるかもしれません。

この記事では、車検におけるスタッドレスタイヤの扱いや、注意点について解説します。

スタッドレスタイヤでも車検は通過する

スタッドレスタイヤであっても車検には通過します。車検では、タイヤの種類を検査するわけではありません。車検に通るか通らないかは、次のようなタイヤの状態次第で決まります。

● タイヤの溝の深さ
● タイヤの消耗具合や損傷の有無
● タイヤの空気圧 など

これらは、いずれも車が問題なく走行するために定期的なチェックが必要な項目です。自動車で走行する際に使うタイヤは、堅ろうなものでなければならないとされ、法律では強度や消耗具合などの基準が定められています(※)。以下にそれぞれの車検時の基準などをお伝えします。

タイヤの溝の深さ

タイヤの溝の役割は、ぬれた路面を走る際にもタイヤと路面の間の水を排出し摩擦抵抗の低下を抑えることです。タイヤの摩擦抵抗が低下すると、タイヤと路面のグリップが発揮されなくなりハンドルが効かない状態になりかねません。

このようなリスクを防止するために、車検ではタイヤの溝が1.6mm以上の深さであるかをチェックします。こちらは法律で定められた基準のため、必ず確認しなければなりません(※)。

溝が1.6mm以上あるかどうかは、タイヤの側面にある三角のマークの延長線上にあるスリップサインを確認してみましょう。溝が1.6mm以上であればスリップサインは現れませんが、1.6mm未満になると現れます。

タイヤの溝は複数ありますが、一つでもスリップサインが出てしまうとこの法律に違反することとなり、また危険なため車検には通りません。

タイヤの消耗具合や損傷の有無

タイヤに偏摩耗や亀裂、ヒビがある場合、車検に通らない可能性があります。偏摩耗とはタイヤの消耗箇所が偏っている状態です。偏摩耗を放置していると、タイヤ寿命を縮めてしまい、走行中のパンクの原因にもなります。

また亀裂やヒビもタイヤの劣化を早めるだけでなく、タイヤの破裂(バースト)につながりかねません。タイヤにこれらの損傷を確認した際は、新しいものに交換しましょう。

タイヤの空気圧

タイヤの空気圧は車検時の検査では測定されることはありませんが、車種ごとにメーカーで適正な空気圧が定められており、車検の際の法定点検では測定が必要となっています。そのため、点検を行わないユーザー車検では運輸支局や軽自動車検査協会の検査官による目視の検査が行われるのみですが、民間の整備工場やディーラーに車検を出した場合は必ずチェックされているはずです。ただし、タイヤの空気圧が少ないことが理由で、車検を再び受けないといけないというケースは稀でしょう。

しかし、タイヤの空気圧は他の検査項目に影響を及ぼします。例えば、タイヤの空気圧が少ないとサイドスリップという検査に通らない可能性があります。サイドスリップとは、ハンドルが真っすぐな状態で直進した際に、どのくらい横にずれるかを確認する検査です。空気圧が少ないとタイヤが横に滑る幅は長くなるため、車検に落ちてしまうかもしれません。

スタッドレスタイヤを使用する際の注意点

スタッドレスタイヤであっても、タイヤの溝の深さや、消耗具合、損傷の有無、空気圧などに問題がなければ車検に通ります。ただし、スレッドタイヤの特長を生かすためには、次の3つのことに注意しましょう。

● 溝の深さが50%を切らないようにする
● 夏の使用は避ける
● 全てのタイヤをスタッドレスにする

以下で詳しく解説します。

溝の深さが50%を切らないようにする

前述のように、車検に通過するには、タイヤの溝の深さは1.6mm以上必要です。しかし、雪道や凍結した道を走るためのスタッドレスタイヤとして力を発揮させるためには、溝が新品時の50% を下回らないことが大切となります。溝の深さが50%になった目安としてスタッドレスタイヤにはスリップサインとは別でプラットホームという突起がタイヤ溝に付けられています。タイヤが摩耗してプラットホームがタイヤ接地面に近付いてきたら交換のサインとなります。
溝が50%以下になってしまったら、スタッドレスタイヤとしての本来の性能は出ないため早めに交換しましょう。また、ノーマルタイヤとして使用する方法もありますが、後述するように雨の日の性能はノーマルタイヤに劣るため注意が必要です。

夏の使用は避ける

スタッドレスタイヤは冬のシーズンの使用を終えたら、ノーマルタイヤに履き替えましょう。スタッドレスタイヤは、低温であっても柔らかさを維持する機能が備わっています。そのため、気温の高い夏場はゴムの柔らかさのため、タイヤの消耗がノーマルタイヤより早くなり、タイヤの寿命を縮めてしまいます。

また、冬以外に使用する際に注意すべきなのが、雨の日です。スタッドレスタイヤに用いられている柔らかいゴムや特徴的な溝はあくまで雪道や凍結した道の走行を考えたものです。元々路面が濡れている雨天時はスタッドレスタイヤでは排水が追い付かず滑りやすくなり、ブレーキをかけてから止まるまでの距離も伸びてしまいます。そのため、梅雨や急な雨が多い夏には使用を避けましょう。

全てのタイヤをスタッドレスにする

スタッドレスタイヤを使用する際は、全てのタイヤを履き替えましょう。自分の車は前輪駆動(FF)だから前だけスタッドレスでいいやと前輪だけスタッドレスタイヤに履き替えたり、その逆に後輪駆動(FR)の車の後輪だけスタッドレスタイヤといったような使い方をすると、履き替えていない側のタイヤは滑り止めの効果が得られないため、雪道である程度進むことはできてもカーブ時やブレーキ時にはスリップしやすくなります。また、タイヤ同士で摩擦力が異なるため、車の挙動に異常を来たしてしまいます。

車検のポイントを把握してスタッドレスタイヤを安全に使おう

車検ではタイヤがスタッドレスタイヤか、ノーマルタイヤかは車検合否に関係はありませんが、タイヤの溝の深さや消耗具合、損傷の有無などは確認されます。そのため、チェック項目を満たしていればスタッドレスタイヤであっても車検に通過します。

ただし、スタッドレスタイヤは溝の深さが50%以下になると、雪道・凍結した道の走行が危険になってしまうので注意しましょう。また、夏にスタッドレスタイヤを使用していると事故につながる恐れがあるので、シーズンが過ぎたらノーマルタイヤに履き替えましょう。