
ヘッドレストを外すと車検に通らない? 保安基準との関係性や例外のケースを解説
ヘッドレストは簡単に取り外せる部品ですが、実は車検に影響を及ぼす重要なポイントであることをご存じでしょうか。
本記事では、ヘッドレストの役割や外した場合の車検への影響やリスクについて解説します。併せて、保安基準との関係性やヘッドレストが不要となる例外ケースについても紹介します。ヘッドレストと車検の関係性を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
【この記事で分かること】
●ヘッドレストを外すと車検に通らない上、道路運送車両法違反に該当するため注意が必要
●特定の要件を満たす自動車や座席では、ヘッドレストなしでも車検に通る可能性がある
●ヘッドレストを紛失した場合は、純正品または保安基準に適合した社外品の取り付けが必要
そもそもヘッドレストとは? 本来の役割
ヘッドレストは、道路運送車両の保安基準などでは「頭部後傾抑止装置」と称されます。その名の通り、他車から衝突された際などに、乗員の頭部が後傾するのを防ぐ役割があります。これにより、頸椎(けいつい)への負担を軽減し、首への傷害リスクを抑えることが主な目的です。
ヘッドレスト(Head rest)の字面から、頭を休息(rest)させるものというイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし、正式な英語表記はHead Restraintです。
Restraintには「拘束」という意味があり、本来は頭部の後傾を抑え、適切な位置に固定するための装置であることを表しています。
分離できるのは取り外し式のみ
ヘッドレストには一体式と取り外し式の2種類があります。一体式はシートバック上部に形成されるもので、任意では取り外せません。
一方の取り外し式は、支柱の根本にある取り外しボタンを押しながらヘッドレストを上部に引き上げることで、座席から分離できる仕組みです。
ヘッドレストを外した状態では車検に通らない? 保安基準との関連性
結論からいうと、ヘッドレストの装着義務がある車の場合、ヘッドレストを外したままでは車検に通りません。道路運送車両の保安基準第22条の4では、自動車の座席のうち、運転者席とこれに並列する座席にはヘッドレストを備えることが義務付けられているためです(※)。
車検は保安基準に適合しているかどうかを確認する検査であり、ヘッドレストを取り外していると保安基準に適合していないと見なされ、不合格になります。
日常的にヘッドレストを外すリスク
日常的にヘッドレストを外していると、車検に通らないだけではなく、以下のようなリスクが生じる恐れがあります。
むち打ち症のリスク
むち打ち症は、追突や衝突などの交通事故が発生した際、衝撃で首がむちのようにしなったために起こる頸部外傷です。
ヘッドレストが正常に装着されていない場合、追突または衝突事故を起こした際に頭の過度な後傾を抑えてくれるものがないため、むち打ち症になるリスクが高まります。
むち打ち症になると首の痛み、動かしにくさ、しびれなどの他、頭痛やめまい、耳鳴り、吐き気といった症状に悩まされる場合もあるでしょう。これらの症状は2~3カ月で快方に向かうとされていますが、症状が数カ月から数年にわたって続くケースも少なくありません。
度合いによっては、日常生活や仕事に支障を来す原因にもなるので、日頃からヘッドレストをきちんと装備しておきましょう。
法律違反のリスク
ヘッドレストを取り外し、車を保安基準に適合しない状態にすると、道路運送車両法第99条の2に違反する恐れがあります。同条では、自動車の装置を取り外すことによって保安基準に適合しなくなる場合、これを行ってはならないと定められているためです(※)。
規定に違反した場合、同法108条の定めにより6カ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金に処される可能性があります。(※)
ヘッドレストの保安基準
ヘッドレストは、装着されていればよいわけではなく、保安基準に適合したものである必要があります。具体的には、以下の要件を満たしていなければなりません(※)。
①他の自動車の追突などによる衝撃を受けた場合に、乗員の頭部が過度に後傾するのを有効に抑止できるものであること
②乗員の頭部などに傷害を与える恐れのない構造のものであること
③振動や衝撃によって脱落しないこと
この要件については、指定自動車などに備えられた純正品と同一の構造で、かつ同一の位置に装着されている損傷のないヘッドレストが該当します。
社外品やモニター付きでもOK?
社外品のヘッドレストは基準を満たせば通ります。ただし、ヘッドレストには装着時の高さや構造などについて一定の技術基準が設けられています。これらの基準を満たしていないものは正規のヘッドレストとして認められず、車検に通らない可能性があるため注意が必要です。
またモニター付きヘッドレストは、モニター部分の形状や硬さなどによって、衝突時に後部座席の乗員へけがをさせるおそれがあるため、保安基準に適合しない場合があります。取り付けている場合は、車検前に基準へ適合しているかを確認しておきましょう。
ヘッドレストがなくても車検に通る例外ケース
車検にはヘッドレストの装着が必須と説明しましたが、中には例外もあります。ヘッドレストがなくても車検に通る車両は以下の通りです(※1)。
●昭和44年3月31日以前に製作された自動車(一般乗用旅客自動車運送事業の用に供するものを除く)
●昭和45年3月31日以前に製作された自動車で専ら乗用の用に供するもの以外のもの
●二輪自動車
●側車付二輪自動車
●大型特殊自動車
●農耕作業用小型特殊自動車
●最高速度20km/h未満の自動車
●車両総重量3.5t超の自動車(専ら乗用の用に供する自動車で乗車定員10人以下のものを除く)
また装着が義務付けられているのは運転者席と、これに並列する座席および自動車の側面に隣接する座席です。例えば、バンなどに見られる後部ベンチシートの中央席は上記の要件に該当しないため、ヘッドレストがなくても車検に通ります。
さらに、以下のような座席もヘッドレスト装着義務の対象外です(※2)。
●またがり式の座席
●簡単に折り畳める座席で、かつ通路や荷台、その他専ら座席の用に供する床面以外の床面に取り付けられたもの
●かじ取りハンドルの回転角度がかじ取り車輪の回転角度の7倍未満である三輪自動車の運転者席側方に設けられた1人用座席
●横向きに備えられた座席
このようなケースはどうする? ヘッドレストに関するQ&A
ヘッドレストと車検に関連するよくある質問をQ&Aにまとめました。
Q. 元々ヘッドレストがない車はどうすればよい?
元々ヘッドレストが付いていない仕様の車であれば、後付けする必要はありません。道路運送車両法第99条の2では、元々備え付けられている自動車の装置を取り外すことによって保安基準に適合しなくなるケースは禁じていますが、元々ないケースでは同法違反には当たりません。
実際に、古い車には元からヘッドレストが装着されていないものもありますが、このような車はヘッドレストなしの状態でも車検に通ります。
Q. ヘッドレストを紛失した場合は?
純正品または社外品を取り付ける必要があります。ヘッドレストを紛失した、あるいは購入・譲渡の時点でヘッドレストが欠品していた場合は、純正品または保安基準に適合する社外品を取り付けて補填しましょう。
ヘッドレストを外すと車検に通らないため注意が必要
元々車に付いていたヘッドレストを外したままでは、保安基準に適合しないので、車検に通りません。またヘッドレストを外した車は、道路運送車両法違反に該当し、拘禁刑や罰金刑の対象にもなるため注意が必要です。
ヘッドレストを紛失した場合は、純正品または社外品を取り付けましょう。ただし、社外品を使用する場合は、保安基準に適合した製品を選ぶ必要があります。適合するかどうか不安な場合は、購入前に販売店に確認するか、車検の依頼先に事前に相談しておくとよいでしょう。
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