
キャンピングカーの車検は普通車と違う? 車検間隔や費用、車検基準、依頼先を徹底解説
キャンピングカーの購入をこれから考えている方や、購入して初めて車検を迎える方にとって、車検がどのように行われるのかは気になるポイントでしょう。普通車と同じように見えても、実はキャンピングカーには独自のルールや基準が存在します。
本記事ではキャンピングカーの分類番号による違い、車検の間隔や費用、基準や依頼先の選び方を分かりやすく解説します。アウトドア需要の高まりとともに注目されているキャンピングカーを安心して長く楽しむために、車検の仕組みをしっかり理解しておきましょう。
キャンピングカーの車検は「分類番号」で異なる
キャンピングカーの車検は、ナンバープレートの「分類番号」によって内容や条件が変わります。ここではまず分類番号とは何かを紹介し、キャンピングカーに多い「8ナンバー」について、その他の番号との違いに触れつつ詳しく解説します。
「分類番号」とは?
ナンバープレートに記載された地域名の右側の2~3桁の数字を「分類番号」と呼びます。この番号の先頭の数字は自動車の用途区分を表しており、車種や用途によって割り振られています。例えば「1」は貨物用普通自動車、「3」は普通乗用車、「5」は小型乗用車といった具合で、一般的に先頭の数字に「ナンバー」を付けて、「1ナンバー」「3ナンバー」「5ナンバー」と呼ばれます。
分類番号を見ると、その車がどのような目的で登録されているのかが分かります。キャンピングカーも例外ではなく、どの分類に入るかによって車検の基準や間隔が変わるため、まずは分類番号を理解しておくことが大切です。
キャンピングカーに多い「8ナンバー」とは?
キャンピングカーの多くは「8ナンバー」の分類番号に該当します。8ナンバーは「特種用途自動車」に区分されるものを表す番号です。特種用途自動車とは、パトカーや救急車、消防車、郵便車、ゴミ収集車など特定の設備や構造を持つ車両を指します。キャンピングカーはベッドやキッチンなどの居住設備を持つことから、原則この分類とされます。
他のナンバーとの違い
キャンピングカーといっても、必ずしも8ナンバーで登録されているわけではありません。8ナンバーのキャンピング車に必須の構造要件(就寝設備、水道設備など)を満たしていない場合は、3ナンバーや5ナンバーとして登録されます。構造要件について詳しくは後述します。
以下に代表的な分類を整理しました。
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分類番号 |
主な用途・対象車両 |
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1ナンバー |
普通貨物自動車(商用トラックなど) |
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2ナンバー |
乗合自動車(乗車定員11人以上のバスなど) |
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3ナンバー |
普通乗用自動車(セダン、ミニバン、SUVなど) |
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4ナンバー |
小型・軽貨物自動車(商用バンなど) |
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5ナンバー |
小型・軽乗用自動車(セダン、ミニバン、SUVなど) |
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6ナンバー |
小型・軽貨物自動車(商用トラック、軽バンなど) |
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7ナンバー |
小型・軽乗用自動車(セダン、ミニバン、SUVなど) |
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8ナンバー |
特種用途自動車(キャンピングカー、救急車など) |
このように、8ナンバーは特種用途自動車として、他の小型自動車・普通乗用車、または貨物自動車と区別されています。車検内容も通常のナンバーと異なる点があるため、どの番号で登録されているかを把握することが、正しい車検理解の第一歩です。
キャンピングカーの車検間隔
普通自動車(3ナンバー、5・7ナンバー)や軽自動車(5・7ナンバー)などの、一般的な乗用車の場合、初回の車検は新車登録から3年後、以降は2年ごとに受けるのが基本です。
一方で、キャンピングカーの多くが該当する8ナンバーの場合は、初回の車検は新車登録から2年、以降も2年ごとに車検を受ける必要があります。
万が一、車検の有効期間を誤解して「車検切れ」になってしまうと、公道を走った場合に法令違反で罰則の対象になるため注意しましょう。
キャンピングカーの車検費用
キャンピングカーの車検費用は、普通自動車と同様に「法定費用」と「車検基本料・整備費用」で構成されています。法定費用には自動車重量税、自賠責保険料、印紙代・証紙代が含まれ、必ず支払わなければなりません。車検基本料・整備費用は、依頼する業者や車両の状態によって変動します。
自動車重量税については、8ナンバーで登録されたキャンピングカーは、3ナンバーなどの自家用乗用車よりも割安になるというメリットがあります。例えば、車両重量2.0トン超、車両総重量2.5トン超の車両(エコカー以外)で比較すると、自家用乗用車は4万1,000円、8ナンバーのキャンピングカーは2万4,600円です(※1)。
自賠責保険料は、24カ月で契約した場合を比較すると、特種用途自動車(軽自動車を除く三輪以上の自動車)は1万9,980円、自家用乗用車は1万7,650円となり、大きな差はないと言えます(※2)。
印紙代・証紙代は、ナンバーの種類は関係なく車種によって設定されています。例えば、普通自動車の場合は認証工場の持込検査の場合2,300円、指定工場の場合は1,800円です(※3)。
このように内訳を比較すると、8ナンバーは特に自動車重量税の差で法定費用が低く抑えられることが分かります。
ただし、車両に特殊な設備を備えている分、部品の交換や設備の修理が必要になれば、追加の整備費用が発生する可能性があることを覚えておきましょう。
キャンピングカーの車検基準
前述の通り、8ナンバーのキャンピングカーは特種な設備や構造を備えています。そのため8ナンバーの場合は、乗用車の車検内容に加えて構造要件のチェックがあります。
キャンピングカー(8ナンバー)独自の構造要件
8ナンバーのキャンピングカーは「特種用途自動車」に分類されるため、通常の乗用車とは異なる構造要件を満たしている必要があります。主な要件は以下の通りです。
● 「室内の高さ」が一定以上あること
● 条件を満たす「就寝設備」が備わっていること
● 条件を満たす「水道設備(洗面台や貯水・排水タンク)」が備わっていること
● 条件を満たす「炊事施設(コンロや調理台、換気扇・換気窓など)」が備わっていること など
車検ではこれらの要件も含め、安全に走行できるかを審査されます。
なお2022年には構造要件が一部改正され、車内高の基準や就寝設備数の条件が緩和されました。これにより、軽バンなど小型車両をベースにしたキャンピングカーも登録しやすくなり、1人用のコンパクトモデルが増えています。要件を正確に理解することで、登録や車検をスムーズに進められるでしょう。
8ナンバー以外のキャンピングカーの車検基準
3ナンバーや5ナンバーで登録されているキャンピングカーの場合は、基本的に普通車と同じ車検基準です。走行部分の検査は通常の乗用車と変わらずブレーキやライト、排ガス規制など、一般的な保安基準がチェックされます。
居住設備は特種用途としての要件を満たす必要がないため、設備に関する制約は少なくなりますが、本来の乗用車としての乗車定員数や座席、シートベルトなどの基準はそのままあるため、車検証の記載内容との相違が出ないように注意が必要です。
DIYしたキャンピングカーは車検に通る?
DIYで製作したキャンピングカーも、基準を満たしていれば車検に通ります。ただし8ナンバーで登録するには、前述した構造要件を満たしていることが必須です。シートやベッドなどの固定方法が不十分であったり、各設備の寸法基準を満たせていなかったり、安全性が確認できなかったりする場合は不合格となることがあります。
また大幅な改造を行った場合は「構造変更申請」が必要になるケースもあるため、注意が必要です。DIYでの製作は魅力的ですが、車検を見据えて安全基準をクリアする設計を行うことが欠かせません。
キャンピングカーの車検の依頼先と選び方
キャンピングカーの車検を受ける際には、依頼先の選び方が大切です。主な選択肢には、ビルダー(製造元や販売店)、ディーラー、一般の整備工場があります。それぞれの特徴を以下にまとめます。
● ビルダー:キャンピングカーを製造・販売する会社のため、架装部分や設備に詳しく、安心感があります。ただし費用はやや高めになる傾向があります
● ディーラー:特定の自動車メーカーの正規販売店のため、ベース車両のメーカー保証や純正部品対応に強みがあります。走行部分の整備は得意ですが、居住設備については対応できない場合もあるため確認が必要です
● 整備工場:車の点検・修理を行う工場のため、多くの車種に対応しており、コストを抑えやすい傾向です。ただし、キャンピングカー特有の構造や設備に不慣れな工場もあるため、事前に対応可能か確認することが重要です
自分の車のタイプや依頼したい範囲に応じて、依頼先を選ぶとよいでしょう。
キャンピングカーのユーザー車検は可能?
ユーザー車検とは、車の所有者自身が直接、運輸支局などの検査場に車を持ち込み車検を受ける方法です。キャンピングカーもユーザー車検が可能です。整備や点検、書類準備などを自分で行う分、費用を安く抑えられる、車や税金・保険などに詳しくなるといったメリットがあります。
一方で、整備や点検には専門知識・専門工具が必要で、自ら行うのが難しいケースも多く、検査で不適合があると追加費用のリスクもあります。8ナンバーのキャンピングカーの場合は、居住スペースの設備まで検査対象となるため、水道やガス設備などの専門知識が必要です。
そのため、整備業界に携わっている方や車両構造に詳しい方でなければ、専門業者へ依頼する方が安心でしょう。
まとめ
キャンピングカーの車検は、分類番号によって内容や間隔が異なります。特に8ナンバーは独自の構造要件があり、普通車と同じ感覚でいると車検基準を満たせないこともあります。費用も車両タイプや依頼先によって幅があり、専門知識を持つ業者に任せるのが安心です。
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