
海風による車の塩害に注意! メンテナンス方法やさびた後の対処法を解説
海沿いの地域にお住まいの方や車で海水浴に出かける方は、海風による塩害に注意が必要です。
海水中の塩分が付着したまま車を放置すると塗装の表面が劣化したり、金属部分が腐食したりする恐れがあります。さびや腐食の程度によっては車が車検に通らなくなるかもしれません。
本記事では、車の塩害が生じる原因や悪影響、塩害によるさびを未然に防ぐポイントなどを紹介します。
海風の当たる場所へ車で出かける予定のある方は、ぜひ確認してみてください。
海水浴のシーズンは特に注意! 車の塩害が起こる3つの原因

塩害とは、塩分を含む水が車体に付着し、蒸発する過程で金属部分の化学反応を引き起こす現象です。車は部品の大部分が鉄やアルミニウムなどの金属でできているため、塩害に注意が必要です。
車の塩害が起こる原因は主に3つあります。
● 車が塩分を含む海風にさらされる
● 海水の成分が台風に巻き上げられる
● 路面にまかれた凍結防止剤が付着する
特に海水浴のシーズンは海風による塩害を受けやすいので、塩害対策を心掛けましょう。以下で、それぞれについて詳しく説明していきます。
車が塩分を含む海風にさらされる
海風には海水中の塩分が含まれており、車の塩害の原因となります。海沿いを車で走行したり海辺に駐車したりすると、車体が海風に直接さらされるため塩害対策が必要です。
海風により飛来する塩分量は地域によって異なります。特に沖縄県や北海道、東北地方、北陸地方の日本海側では、他の地域と比べ塩害が起きやすいとされています(※)。
また海風に含まれる塩分量は、海岸からの距離が近いほど大きくなるので、海沿いの地域を車で移動する場合は塩害対策をしましょう。
海水の成分が台風に巻き上げられる
車の塩害が生じるのは海沿いの地域だけではありません。日本に1年間で約12回接近するといわれる台風も車の塩害の原因の一つです(※)。
台風のほとんどは海上で発生します。台風が接近すると強風により海水中の塩分が内陸部まで運ばれるため、車体に付着する可能性があります。
普段は塩害の影響を受けにくい地域にお住まいの場合も、台風通過後はできるだけ速やかに洗車し、車体の表面に付着した塩分を洗い流すと良いでしょう。
路面にまかれた凍結防止剤が付着する
海水浴のシーズンだけでなく、積雪量の多い地域では冬にも塩害対策が必要です。寒冷地では降雪期になると路面に凍結防止剤(融雪剤)が散布されます。凍結防止剤には塩化カルシウムや塩化ナトリウムなどの成分が含まれており、塩害の原因となる可能性があります。
特にタイヤやホイール、サスペンション、ブレーキなど車の足回りに凍結防止剤が付着しやすいため、小まめに洗車を行いましょう。
塩害が車に及ぼす3つの悪影響
車の塩害を放置すると、以下のような悪影響が生じる可能性があります。
● 車の部品がさびやすくなる
● 車の故障や事故の原因となる
● 車検に通らない可能性がある
車の部品がさびやすくなる
先述のとおり、車体に塩分が付着すると金属部分が空気や水分と反応する可能性があり、部品がさびやすくなります。
車の部品には塗装やメッキ加工が施されていますが、塩分は時間とともに塗装の表面を劣化させます。塗装に小さな傷や剥がれがある場合は、そこから塩分を含む水が入り込み、下地の金属部分までさびが進行する可能性もあるため注意しましょう。
また、車の下部や足回りの部分はさび止めの追加塗装を行っていない方もいるかもしれません。車の下部や足回りは路面に近く、海水がかかったり凍結防止剤が付着したりと特に塩害の影響を受けやすい箇所です。さびが発生しないよう、しっかりと対策を行う必要があります。
車の故障や事故の原因となる
車の塩害が進行すると故障の原因にもなります。塩害により部品がさびたり固着したりした結果、走行時の安全性が低下し、思わぬ事故につながる恐れもあります。
特に車の足回りにはブレーキやサスペンションといった重要な部品が集まっているため、塩害対策が重要です。
車検に通らない可能性がある
塩害によるさびは、軽度であれば車検にほとんど影響はありません。しかし、さびの程度や生じた場所によっては車の保安基準を満たせなくなり、車検に落ちる可能性があります。
例えば、さびや腐食により車のフレームに穴が空いている場合、車種によっては強度不足と見なされ、車検に通らなくなります。またさびによって車体番号の刻印が確認できない場合も、新しく番号を付与する「職権打刻」の手続きが必要です(※)。
このように車の塩害を放置すると、さまざまな悪影響が生じる可能性があるため、日頃からしっかりとメンテナンスを行いましょう。
車の塩害を予防する4つのメンテナンス方法
車の塩害を予防するには日頃のメンテナンスが有効です。ここでは日常的に行える4つの塩害対策をご紹介します。
● 海水浴のシーズンは小まめに洗車する
● 海沿いの地域ではできるだけ屋内に駐車する
● さびを防ぐための塗装やコーティングをする
● 小さな傷や塗装の剥がれはすぐに修復する
海水浴のシーズンは小まめに洗車する
海水浴のシーズンは小まめに洗車し、車体に付着した塩分を洗い流しましょう。しっかりと洗車をする余裕がない場合は、表面を水洗いしたり濡れた雑巾で拭いたりするだけでも一定の効果が期待できます。
ただし飛来する塩分量の多い地域や海岸沿いを走行した場合は、汚れを念入りに取り除く必要があります。特に塗装の傷や剥がれができやすい足回りは重点的に塩分を洗い流しましょう。洗車機によっては、足回りの部分までしっかりと洗うことができる種類もあるため、必要に応じて利用するとよいです。
海沿いの地域ではできるだけ屋内に駐車する
海沿いの地域では、できるだけ屋内の駐車場を利用しましょう。車を屋外に駐車すると海風に直接さらされ、塩害が起こるリスクが高まります。
屋内に駐車するのが難しい場合は、車にボディカバーをすると良いでしょう。ただしボディカバー本体にも塩分が付着するため、定期的に洗ってきれいにしておく必要があります。
さびを防ぐための塗装やコーティングをする
塩分を予防するなら車体の塗装やコーティングを行うのも効果的です。耐久性が高くさびに強い塗料やコーティング剤で表面を保護することで、海風による腐食や劣化を予防できます。
凍結防止剤が付着しやすい足回りには、アンダーコートと呼ばれる下回り処理を行うのもおすすめです。アンダーコートによって防さび効果が得られるだけでなく、走行中の砂利などの飛散物による傷が付きにくくなる効果も期待できるでしょう。
車の塗装やコーティングは自分で行うこともできますが、下地処理や塗装後の乾燥などの手間がかかります。不安な場合は専門店に相談すると良いでしょう。
小さな傷や塗装の剥がれはすぐに修復する
車体を防さびのため塗装やコーティングしていても、小さな傷や塗装の剥がれがあると、そこからさびが発生しやすくなります。車をこすったりぶつけたりした場合は、塗装が剥げていないか確認しましょう。
表面に目立つ傷がなくても日常の使用や太陽光、温度変化などの影響により、塗膜は経年劣化していきます。車に深刻なさびができる前に、定期的にメンテナンスを行うことが大切です。
塩害により車にさびができたときの対処法
塩害により車にさびができてしまったら、できるだけ早く対処する必要があります。ここでは車のさびを落とす方法を2つ紹介します。
● 小さなさびならさび取り剤で対処できる
● 対処が難しい場合は専門店に相談する
小さなさびならさび取り剤で対処できる
100円玉より小さいさびであれば、カー用品店などで販売されているさび取り剤で応急処置を行えます。さび取り剤にはさまざまな種類がありますが、筆塗りタイプやペーストタイプの商品なら初心者の方でも使いやすいでしょう。
さび取り剤による応急処置の流れは以下の通りです。
1. サンドペーパーなどを使用し、さびの表面をなめらかに整える
2. さびが広がらないようにさび取り剤をまんべんなく塗布する
3. ボディカラーに合った色のタッチペンを使い、表面を目立たなくする
ただし、さびのサイズが大きい場合は、自分で対処するのは難しいです。タッチペンの補修跡も目立つため、気になる方は専門店に板金塗装を依頼すると良いでしょう。
対処が難しい場合は専門店に相談する
以下のケースに該当する場合は自分で応急処置を行うのではなく、専門店に相談することをおすすめします。
● さびのサイズが100円玉よりも大きい
● さびだけでなく、表面に穴やへこみができている
● さびにより部品のボルトやナットが固着している
● 車の足回りの部分にさびができている
特に車体に穴が空いていたり、へこみができていたりする場合は、整備工場での板金修理が必要です。また車の足回りにさびができている場合も、場所によっては車体をリフトなどで持ち上げなければならないため、専門店に相談すると良いでしょう。
大規模な修理が必要となる前に、車にさびができていないか小まめにチェックし、早めにメンテナンスを行うことが大切です。
海水浴のシーズンは海風による車の塩害に注意しよう
海水浴のシーズンは海風による車の塩害に注意が必要です。塩害が発生すると車の部品がさびやすくなるだけでなく、故障の原因となる可能性もあります。特にタイヤやホイール、サスペンション、ブレーキなどの足回りは、塩害の影響を受けやすいため、しっかりとメンテナンスを行うことが大切です。
小まめに洗車して塩分を洗い流す、海沿いの地域ではできるだけ屋内に駐車するといった工夫により、塩害を防止できるでしょう。また防さびのため、車体の塗装やコーティングを行うのもおすすめです。
車検専門店である「車検の速太郎」では、店舗によって板金塗装や洗車などにも対応しています。また、塩害により傷んだ部分の修理も行うことができます。車検と同時に修理を行うことも可能なので、「修理と車検を一緒にお願いしたい」という方も、ぜひ最寄りの店舗へお気軽にお問い合わせください。